AIによって職を失うことの代償は、労働者が想定している以上に大きい可能性がある。Spencer Platt/Getty ImagesAIの影響で失職した労働者は、その後10年にわたって賃金が低下する可能性がある。ゴールドマン・サックスの最新調査で明らかになった。こうした失職者は、他の失職者と比べて再就職時に平均3%の賃下げを受けているという。また、失職から数年間にわたり失業リスクも高い状態が続くという。
AIによって職を失うことの代償は、労働者が想定している以上に大きい可能性がある。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)がそう指摘している。
同行は40年間の労働市場のデータを分析した結果、テクノロジーの変革によって職を失った労働者は、その後も長年にわたり影響を受け続けていることが明らかになったと、2026年4月6日に発表したリポートで述べた。

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「我々の分析によれば、過去のテクノロジー変革の波と同様に、AIによる雇用の代替は、影響を受けた労働者に長期的なコストを課し、数年にわたり労働市場での成果を悪化させる可能性がある。こうした影響は、景気後退と重なった場合にはさらに拡大する恐れがある」
また、1980年以降に2万人以上の労働者の動向を追跡した縦断調査データの分析では、「技術革新よって影響を受けた職種」から離職した労働者は、「より安定した職種」から離職した労働者と比べ、実質所得が平均3%低下する傾向が確認された。
賃下げの影響は長期間に及ぶ。失職してからの10年間で、テクノロジーによって職を奪われた労働者の実質所得の伸びは、失業を経験していない労働者と比べて平均で10ポイント低かった。また、他の理由で失職した労働者と比べても、実質所得の伸びは5ポイント低かった。
さらに、「より安定した」分野での失職者に比べ、テクノロジーによる失職者は再就職までにおよそ1カ月長くかかる傾向があるという。加えて、一度最新テクノロジーの影響で失職すると、その後10年間にわたり再び「失業期間」を経験するリスクも高い状態が続くと、ゴールドマン・サックスは指摘している。
同行によると、こうした労働者は住宅取得の遅れなどを背景に、生涯にわたり資産形成のペースも遅くなる可能性が高いという。
「これらの不利な結果の背後にある主要なメカニズムが、職業の格下げだ。テクノロジーによる失職者は、分析力や対人スキルをあまり必要としない、より定型的な職種へ移行する傾向がある。これは、彼らの職を奪ったのと同じテクノロジー変革が、彼らが持っていたスキルの価値を低下させているためだと考えられる」
「こうした長期的悪影響は、より広範な経済的成果にも波及する」とアナリストらは述べている。
企業が生産性向上とコスト削減を模索する中、AI関連の人員削減はすでに労働市場に波及し始めている。別のリポートでゴールドマン・サックスは、AIによる代替や補完の影響により、過去1年間で新規雇用の増加が月あたり約1万6000人分抑制されたと推計している。
同行は以前、今後10年間で全米の労働者の最大7%が、AIによって職を追われる可能性があるとの予測を示していた。
しかし、明るい兆しも存在する。
テクノロジー変革による失職者が、必ずしも行き詰まるわけではない。再訓練を受けた場合、その後の10年間の累積的な実質賃金の伸びは平均2ポイント上昇し、この期間に失業状態に陥る確率も約10ポイント低下したと、ゴールドマン・サックスは推計している。
「再訓練プログラムがAI関連の失職による悪影響を緩和し、離職者がわずかながら高い賃金を得て、より安定した雇用を実現し得ることを、我々の分析が示唆している」

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