ガソリンの全国や静岡県内の平均価格が12週連続で値上がりしています。1リットル180円台は15年ぶりです。高騰の原因と下落の時期などを、永井学解説委員の解説です。

ー ガソリン価格の現在の状況は?

永井学 解説委員:
ガソリンの店頭小売価格は、経済産業省から毎週月曜日の調査結果が2日後の水曜日に発表され、おととい7日の価格が先ほど発表されました。
レギュラーガソリン1リットルあたりの全国平均価格が180円30銭、静岡県の平均価格は180円10銭で、これで全国と静岡ともに12週連続の値上がりとなりました。180円台突入は15年ぶりです。
過去1年間を見ても、ゴールデンウィークが明けた5月半ばから上がり始めて、静岡は12週前に比べ14円10銭円の値上がりとなっています。

ー なぜ、ガソリンの価格が毎週上昇しているの?

永井学 解説委員:
主な要因は3つあると言われています。
1つがガソリンの元となる原油の価格の高止まりです。2022年2月にウクライナ情勢で原油価格が一気に跳ね上がり、最近は落ち着いているとはいえ、ロシアの輸出規制やアメリカの好景気などで、まだ高めで推移しています。

2つ目が円安です。原油はドル建てで取り引きされるので、円安が進めばその分、小売り価格にも反映されてきます。

3つ目が、政府からの補助金です。この補助金はコロナ後の経済活動を下支えするために2022年1月に導入された措置で、ガソリンの場合、現在1リットルあたり9円10銭の補助金がでています。
ところが政府は、2023年6月から2週間ごとに補助率を10%ずつ下げていて、9月いっぱいで補助金制度を終了する予定です。この補助金削減が、ガソリン価格高騰の最も大きな要因とされています。

ー 政府はなぜ補助金を減らすのか?

永井学 解説委員:
1つは予算の問題で、ガソリンや軽油など燃料油に対する補助金予算は約6兆円に上っており、いつまでも続けるわけにはいかないという背景があります。
もう1つは、今の政府が「脱炭素」を推進している中で、CO2を排出するガソリンに多額の予算をつぎ込むという「大きな矛盾」を解消するのが主な理由です。

ー ガソリン価格が下がるのはいつ頃?

永井学 解説委員:
静岡経済研究所の恒友 仁 専務理事によりますと「アメリカと中国が2大要素になってくる。アメリカ経済が減速するタイミングがいつか。来年に入ってからと言われているので原油に対する需要が減速してくるのは来年に入ってから。そうなるとガソリン価格も下がるにしても来年に入ってからと考えられる」ということです。来年になれば米国経済が減速して原油の需要も減速し、ガソリン価格も下がるという予想です。

ガソリン価格の動向は物流なども含めて国民生活に関わるだけに、補助金については、最後は政治判断だと思いますが、岸田総理が政権支持率を気にするとすれば、10月以降の補助金延長は可能性としてあると思います。

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