Tag

UCs3g3HkoFHBXipx6YXfV9KQ

Browsing

💬藩主家の重宝である貞宗の短刀が紛失した責任を問われ、謹慎処分になった御納戸奉行配下の相良波十郎。その短刀は、亡妻・麻乃の手から不倫相手だった中津清之進に渡り、武具商を経て、今は隣藩の神保なにがしが所持していることがわかる。短刀が戻らなければ切腹するしかない運命にある波十郎は、短刀を取り戻す役目を女中のけいに頼むが…。…

💬飯島久彦は、努力の末に大手銀行に就職し、出世を追い求めたものの、体調を崩して退職に追い込まれていた。再就職活動もうまくいかない彼の前に現れたのは、かつて自分と母を捨てて失踪した父・文彦だった。牧場経営に行き詰まり、土地を手放さざるを得なくなった父は、廃品を集めて築き上げた「スクラップ・ロード」の先で、まさに廃品のように暮らしていた。そして、ひっそりと死を迎える…。久彦は自らも生きることへの意欲を失いかけていたが、ギリギリのところで気づく。人生につまずいた男が、再び生きることへの意欲を取り戻すきっかけとなったのは?…

💬難関中学に合格したばかりの晶子(12)は、入学時の健診で、進行性の「感音性難聴」と診断される。晶子が中学受験をする時「今、頑張れば、将来の選択肢がたくさん増えるんだ」と父や先生から嫌というほど言い聞かされ、勉強を頑張ってきた。彼女は「耳が聴こえなくなったら、私の人生の選択肢は、ほとんど無くなっちゃうよ」と、男手一つで育ててくれた父・深山達雄(42)に八つ当たりする。絶望の中、「五月二日、鈴の音が聞こえなくなった」と、失った音を日記に書く晶子。これは、音を失い、孤独の中にいる一人の少女と聴導犬との心のふれあいの物語。…

💬三重県東員町の小さな理容室が始めた“エンディング・カット”。理容師が、亡くなった人の髪を遺族の依頼でカットやカラーなどヘアーセットする。故人を偲ぶため、遺族にその人らしさを思い出してもらう“最後の時間”を生み出す。エンディングカットの活動をする美容師の父親と、勧めた母。そのことに嫌悪感をもっている中学生の娘。人の死に向き合おうとする親子のヒューマンドラマ。エンディングカットという実在する話をモチーフにした物語。…

💬あの時、私とは違う道を選んだあなた。その選択を応援したくて、口にできなかった言葉があった。あなたを思って、傷つけたくなくて、飲み込んだ思いがあった。それは胸の奥底にたまっていって、10年という歳月の中で、氷のように冷たく固まった―。…

💬前園ことりは、長年の夢だった地元ラジオ局に就職し、人気番組のパーソナリティを担当にすることになった。宛名のない手紙同士をマッチングさせ、まるで問答歌のようにするその番組の名前は“仮想郵便局”。念願の仕事のはずなのに、まったくうまくいかず落ち込むことりに、ある日、一通の手紙が手渡される。それは、「終戦直前に特攻隊員として飛び立ち、戻ってこなかった恋人に宛てた女性の手紙」だった。鮮烈すぎるその手紙に返すべき言葉を探すうち、ことりは、1945年に迷いこむ。ちっぽけなものだと思いこみ、ないことにしてきた気持ちに、なかったことにされた気持ちに向き合うことり。鹿児島県の視聴者公募でよせられた手紙と鹿児島で広がる仮想郵便局をモチーフに生まれた、この夏だからこその物語。…