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【大河ドラマ・太平記】に見る建武中興に対する潜在意識誘導 ~立川流という都市伝説に惑わされるな~



後醍醐天皇の側近の一人で、第3代東寺座主・第66代醍醐寺座主を務めた文観が施したとされる立川流に関して、いい加減な都市伝説が蔓延しており、先日も、弊会へ、『立川流』を基準にして建武を評する誤った認識下でのご意見が届けられた。
この誤認識は、後醍醐天皇が建武や中興に掲げた理念についての認識をミスリードさせかねぬ深刻な問題と考える。
そのため、当YouTube投稿に至った。

僧侶ではない者や修行の経験すら無いような者が、著作やメディア等で中途半端な知識を以て流布している事が多く、これを深く憂慮する。
そもそも、立川流の経典は、邪教とされた為に現存せずその実態は不明。

大河ドラマ『太平記』OPテーマ曲の冒頭部分に於いて、炎の中の烏天狗が向き合う画像の中、『あー』と流れる音声は、真言密教の『阿息観』を彷彿とさせており、後醍醐天皇が深く帰依した真言密教を暗示させているように感じる。
もちろん、大河とは申せドラマであるので、内容はほぼフィクションであり、古典『太平記』とは全く異なる物語であり、それどころか、原作としている吉川英治氏著『私本太平記』からも大きく逸脱した内容となっており、ほぼ、大河のオリジナルフィクションドラマの様相を呈している。

『阿息観』とは、『阿字観』と同じく真言密教の修行の一つであり、根本観念は同じく、大和言葉に於いて万物の始まりを表す『あ』を森羅万象の神仏・大日如来~天照大神と観念し、自身の心身をそれらと一体化させるという、非常に尊く重要な修行である。

しかし、知識の浅いながらも歴史を少しかじった程度の俗人が、一般的にそこから連想するのが、『倒幕の調伏』なる秘儀を施した等と都市伝説を以て語られる文観の存在である。
文観一世一代の秘儀『立川流』なるものは、邪教として弾圧された為に経典が全く現存しないとされるが、そもそも幕府側が南朝方を貶めんが為に流布した根も葉もない噂の可能性も高く、実在すら怪しむべきものと考える。
また、立川流の根本と仮定される大聖歓喜天(聖天)や理趣経の教義に関しては、厳しい修行を修めた者しか語ってはならぬ非常に高度であり、森羅万象への大慈悲の最も尊い教えである事は言うまでもない。
当然ながら、聖天様のお姿の直視は厳禁である。

本で読んだりテレビで観たりといった机上の空論のみでは、決して、歴史の真実など理解し得ない。
何より大切なのは、その現場に立ち、現場の方々のお話を直にお聴きし、その場の空気を感じ、そこに今も尚宿り続ける地霊の魂の叫びに耳を傾ける事が、歴史顕彰に於いて、何よりも大切な、不可欠な事なのだ。

#教科書では教えない本当の歴史 #建武の中興 #楠木正成