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【SMAP】【草なぎ剛】「アカデミー賞最優秀男優賞」草なぎ剛の出世作の相手はアイドル冬の時代を共に過ごした菅野美穂だった

第3回 草なぎ剛(元SMAP) アイドル冬の時代を生き残り、今や大物の風格も
 この連載は、たのきんトリオからSixTONES、Snow Manまで、歴代のジャニーズ事務所所属者(または元所属者)が映画やテレビドラマで共演した女性アイドルの傾向や歴史的意味合いなどを分析していくものである。つまり、男性アイドルを語りつつ、“その共演者”という視点で女性アイドルの歴史も併せて紐解く内容だ。
 なお、女性アイドルの定義はアバウトなものとするが、データの膨大化を避けるために年齢制限を設け、対象作品を原則的に男性アイドルが25歳までに出演した映画、テレビドラマに限定する。
 連載第3回は、映画『ミッドナイトスワン』での演技で「日本アカデミー賞」の最優秀主演男優賞を受賞し、NHK大河ドラマ『青天を衝け』での徳川慶喜役が好評の草なぎ剛と、彼が2000年7月までに共演した女性アイドルをクローズアップする。
■デビュー当初は地味認定でしばらく主演作ナシ
 1991年にSMAPとしてCDデビュー後の草なぎ剛は、しばらくの間、“地味なメンバー”というイメージを払拭できずにいた。他メンバーが続々とドラマ主演を果たしていくなか、グループの枠を超えた連続ドラマへのレギュラー出演の機会になかなか恵まれなかったのだ。
 そんな草なぎにとって初のチャンスとなったのが、小泉今日子と中井貴一のダブル主演作『まだ恋は始まらない』(1995年/フジテレビ系)で、ここではヒロインの妹(坂井真紀)の恋人役というポジションだった。
 坂井はその時点で、『二十歳の約束』(1992年/フジテレビ系)で稲垣吾郎(当時:SMAP)、『お茶の間』(1993年/日本テレビ系)で成田昭次(当時:男闘呼組)、『長男の嫁』(1994年/TBS系)で山口達也(当時:TOKIO)と、豊富なジャニーズ勢との共演歴があった。
 草なぎにとって実質の単独初主演作は、オムニバス形式の『木曜日の怪談』(1995年/フジテレビ系)の1本で、ここでの相手役はアイドルグループ「CoCo」出身の三浦理恵子である。
■出世作『いいひと。』は不遇時代の戦友・菅野美穂がヒロイン
 その後、何本かの連続ドラマ、単発ドラマへの助演を経て、草なぎにとって初の連続ドラマ主演作となったのが、1997年の『いいひと。』(フジテレビ系)だ。
 文字通り「いいひと」を演じたこの作品は、草なぎ自身のパブリックイメージを決定づけるものとなった。同作では恋人役を菅野美穂が演じているが、これはアイドルマニアには感慨深いキャスティングともいえた。
 両者はかつてアイドルバラエティ番組『桜っ子クラブ』(1991年/テレビ朝日系)で共演していたのだ。
 この『桜っ子クラブ』はタイトルのとおり、菅野や中谷美紀、井上晴美、加藤紀子、持田真樹らを輩出した女性アイドルグループ「桜っ子クラブさくら組」の冠番組であり、SMAPの役割は盛り上げ役に相当した。これはデビュー当時の彼らの不遇ぶりを象徴する番組ともいえる。
 ただし、桜っ子クラブさくら組とて、グループとして人気が大ブレイクした訳ではない。90年代初頭は“アイドル冬の時代”であり、ジャニーズ勢にも女性アイドルにも苦しい時期だった。そうした意味で草なぎと菅野は冬の時代の戦友同士ともいえた。
『いいひと。』の高視聴率で主演級俳優にランクアップした草なぎは、同年10月より『成田離婚』(フジテレビ系)に主演。のちにV6の井ノ原快彦と結婚する瀬戸朝香と成田離婚を決意するカップルを演じた。瀬戸は、『東京大学物語』(1994年/テレビ朝日系)で稲垣吾郎、『終らない夏』(1995年/日本テレビ系)で井ノ原快彦と共演歴があった。
 その後、松たか子がヒロインを演じた『じんべえ』(1998年/フジテレビ系)では脇に回った草なぎだが、次の『TEAM』(1999年/フジテレビ系)では再び主役に。この作品にヒロイン格で出演したのは、『踊る大捜査線』(1997年/フジテレビ系)出演後の水野美紀である。
 25歳になった草なぎが主演した『フードファイト』(2000年/日本テレビ系)には、まだ10代だった深田恭子が出ている。深田の名前は当連載にたびたび出てくるが、彼女はジャニーズ勢との共演の回数が多いアイドルのひとりである。『フードファイト』も高視聴率を記録することで、草なぎはかつて“地味なメンバー”だったのが嘘のように「数字が取れる俳優」として認識されていった。
 それから20年以上の時が流れ、SMAPはすでに存在しないが、46歳になった草なぎは、主演男優賞俳優となり、大河ドラマで将軍役を貫禄たっぷりに演じている。