羽生結弦が選んだ特別なプログラム。平昌五輪は「この曲で勝ちたい」
——————————————————————–
数々の快挙を達成し、男子フィギュアスケートを牽引する羽生結弦。常に挑戦を続ける強靭な精神力と自らの理想を果敢に追い求める情熱を持つアスリートの進化の歩みを振り返る。世界の好敵手との歴史に残る戦いや王者が切り拓いていく未来を、長年密着取材を続けるベテランジャーナリストが探っていく。
「新たなステージに引き上げてくれた」というショートプログラム(SP)使用曲『バラード第1番』とフリーの『SEIMEI』。羽生結弦は、幼い頃から目標にした勝負の場である2018年平昌五輪に、その自信のあるプログラムで挑むことを決めた。

 五輪連覇がかかる羽生が常々口にしていたのは、「難度の高いジャンプを跳ぶだけではなく、スピンやステップなどの表現も含めて完成された、芸術性も併せ持ったプログラムを目指したい」ということ。平昌五輪は、その理想形を実現する最大の場と考えていた。

 このプログラム選択に、2017ー18年シーズンにかける覚悟の強さを感じた。羽生にそう伝えると、「そうですね。やっぱりそう感じますか?」と微笑みながら、言葉を続けた。
Video: