空に住む

監督/青山 真治(あおやま しんじ)
共食い(2013)菅田将暉

出演/
小早川直美/多部未華子
 2019年結婚
 夜のピクニック(06)、君に届け(10)、ピースオブケイク(15)
 あやしい彼女(16)
 連続テレビ小説 つばさ(09)/主題歌・アンジェラ・アキ 愛の季節

小早川明日子/美村里江
小早川雅博/鶴見辰吾

時戸森則(ときと もりのり)/岩田剛典(いわた たかのり)
 去年の冬、きみと別れ(18)
 AI崩壊(20)、パーフェクトワールド(18)
 新解釈・三国志(20)、名も無き世界のエンドロール(21)

木下愛子/岸井ゆきの

両親を事故でなくした直美(多部未華子)は、父親の弟、雅博おじさんの手引で、高層高級マンションの1室で、愛猫のハルと住むことに。この部屋は投資目的で買っていたもので、人が住むことで維持をする意味合いもあって、管理人として直美を住まわせるのだった。

その部屋からは東京都心が見渡せ、今を時めく俳優の「時戸森則(ときと もりのり)」の巨大なビルボード広告が見えていた

都心から少し離れた出版社で働いている直美だが、マンションのエレベーターで時戸森則(ときと もりのり)に出会う。有名人と会った緊張感と何気ない優しさをから好印象を抱く直美

時戸森則(ときと もりのり)と2度目の偶然の出会いの際、オムライスをリクエストされ振る舞う。
そして後日、彼から佐藤錦のさくらんぼを食べないかと誘われいっしょに食べた日に2人は男女の関係になる

会社では妊婦の愛子(岸井ゆきの)の引き継ぎで、文学賞をとった小説家・吉田の後任になれないか?などを進言するなど仕事を充実させていくが、それは いろいろな寂しさから逃げるように、そして自分自身をごまかすためのものだった。
しかし、どれもが彼女を満足させるものではなく、直美は時戸森則との逢瀬におぼれていく

愛子はお腹の子が、付き合っている相手ではなく、実は担当の吉田の子であることをカミングアウトする。動揺を隠しながら彼女を応援することを誓う直美
時戸森則との逢瀬を楽しむ直美だったが、明日子が合鍵をつかって部屋に入ろうとする事案があってから、彼女は今の時戸森則との関係や今の自分の状態がふわふわとしたものを確信していく。

そんななか、愛猫のハルの体調が崩れ、難病であることが判る。それは生活の変化からくるストレスが原因の可能性があって…

明日子は、子どもを持つことへの憧れ、専業主婦であることの虚無感と喪失感をいだいている。インスタ用写真の撮影などで演出
でもお仁さんの雅博はそれに気づいていない…夫婦間のすれ違いなども匂わせている。

時戸森則の描き方は原作とは随分違う
華やかな芸能界のなかで演じている虚構の産物である時戸森則というキャラクターを彼自身は自覚しており、その反動で異性や他人との軽い関係性こそが楽だという雰囲気は、スター歌手だからこそ彼が演じた価値があるかもしれない
その雰囲気は 自由に生きる猫のようでもあるが、実は 華やかな世界とは違う本当の自分を観てほしいという隠れた願いがあるようにも見える

2人が合うのは、タワーマンション内のみ
これは芸能人の秘匿性の部分があるのかもしれないが、そうではないだろう
地に足をつけた生活 というキーワードのアンチテーゼでもあろう
電車に乗って職場に行き、タワーマンションで時戸森則と会う
現実と虚構の繰り返しの演出ともいえるのではないか?

近藤(柄本明)と近くなってきたのに離れてしまう事実
時戸森則との逢瀬がまやかしであることに気づく中、
ハルとの別れなど
喪失感からの新たな一歩を踏み出す女性を描いた、多くの女性に観てもらいたい1本