渋野日向子、苦しんだ末の成果 女子ゴルフ最古のメジャーで優勝争い―スポーツ2020
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必死にこらえた涙が、悔しさを物語っていた。今月14日までの全米女子オープンゴルフで、最終日を単独首位で迎えた渋野日向子が4位に終わり、日本選手初のメジャー2勝目を逃した。「絶対にこの経験は無駄にはならない」。世界の舞台で一層輝く誓いを立てた。

 今季は苦しんだ。6月下旬の国内ツアー開幕戦から、前年覇者として臨んだAIG全英女子オープンまで3戦連続予選落ち。メジャー2大会を含む米国での4試合も、優勝争いに絡めなかった。帰国後の国内ツアーで予選落ちと、トンネルは続く。家族ら周囲と会話を重ねて吹っ切れた。「去年の自分に戻る感覚から、これからまたつくり上げていくという捉え方に変わった」。11月のツアー選手権リコー杯で3位と、調子を取り戻した。

 再渡米して臨んだ全米女子オープン。堅実なコースマネジメントで、ショットとパットがかみ合った。予選ラウンドで単独首位に立ち、「今のうちに(リーダーボードの)写真を撮っておきたい」。3日目はアプローチで粘り、トップを死守。だが、悪天候で休養1日を挟んだ最終ラウンドでは、寒さと重圧に悩まされた。「自分のしたいゴルフが全くできなかった」。優勝が消えた最終18番で、10メートル超のバーディーパットをねじ込んで見せた笑顔は一瞬だった。

 それでも、現存する最古の女子メジャー大会で確かな成長の跡を示した。「スマイリング・シンデレラ」の冷静なプレーぶりに、海外では「スマイリング・アサシン(笑顔の刺客)」の異名も生まれた。「この心境のまま技術もうまくなってきたら、もっともっと強くなれる」。東京五輪も控える来年。米ツアー本格参戦を見据え、22歳は確信を得た。
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