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オンライン診療恒久化 政府と日医が激しい攻防 制度設計難航も

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新型コロナウイルス感染の広がりを受け特例措置として認めている初診からのオンライン診療をめぐり、政府は恒久化に向けて制度設計を本格化させる。だが、日本医師会(日医)は安全性などを理由に慎重な立場を崩しておらず、政府と日医による攻防は激しさを増している。(坂井広志)

 オンライン診療について厚生労働省はこれまで「初診は対面」を原則としてきたが、新型コロナが発生。院内感染などを防ぐため、4月から特例で電話やタブレット端末などを活用したオンライン診療を初診から容認し、期限は感染が収束するまでとした。

 ただ、規制改革の推進などを掲げる菅義偉(すが・よしひで)首相は就任後、田村憲久厚労相に恒久化の検討を指示した。6日の政府の経済財政諮問会議では、民間議員がオンライン診療などの「特例措置の恒久化」を提言。7日の規制改革推進会議も「当面の審議事項」にオンライン診療が入り、「デジタル時代に合致した制度として恒久化を行う」と明記された。

 8日には田村氏が、河野太郎規制改革担当相や平井卓也デジタル改革担当相と恒久化で合意し、外堀は埋まりつつある。

 一方、日医の中川俊男会長は9月24日の記者会見で「医療機関へのアクセスが制限されている場合にオンライン診療で補完する」「初診からのオンライン診療は有事における緊急の対応だ」などと見解を表明した。

 中川氏は「できるものを一つ一つ議論して、拡大できるものは拡大していく」とも語っており、全面的に反対しているわけではない。だが、「初めて会う人の診断をオンラインでするリスクは計り知れない」と警戒感を隠さない。

 オンライン診療は患者の利便性は高いが、医師は触診などができず、対面より得られる情報は少ない。その分、患者の状態の見極めも難しい。日医は医師のなりすましによる患者の健康被害の発生、患者のなりすましによる薬剤不正入手、健康保険の不正使用などのリスクも強調する。

 ある日医関係者は「検査料やもろもろの管理料などが取れなくなるので収入が減少してしまう」と漏らす。オンラインだと通院距離に関係なく、評判の良い病院に患者が集中し、経営が苦しくなる病院が出かねないという懸念もある。会見で中川氏はこう言い放ち、政府を牽制(けんせい)した。

 「オンライン診療は日医にとってはど真ん中のストライクだ」