震災からまもなく13年。大津波の被害にあった宮城県石巻市の大川小学校周辺は住居が建てられず、人が住むことができません。ふるさとにもう一度、人々の賑わいを取り戻そうと挑戦する人たちを取材しました。

■「大川竹あかり」に込めるもの

トラウデン直美さん
「当時、私も小学生だったので、その時のこと思うと普通に学校行って、楽しい毎日を送っていたんだろうなって、学校の風景が浮かんでくる」

宮城県石巻市立大川小学校。
2011年3月11日、この場所では最大8.6mの大津波が襲い、児童74人と教職員10人が犠牲となりました。

そして、2024年2月25日、大川小の近くで開かれていたワークショップに集まっていたのは、亡くなった児童の遺族や全国から訪れたボランティアの人たちです。

毎年3月11日に鎮魂の願いを込めて行われる「大川竹あかり」に使われる竹灯籠を作っていました。

関東からの参加者
「『竹あかり』みたいなのをきっかけに、お話聞けるのはいいですよね」

地元出身
「(友人が教師で)生徒さんたちと大阪でやっているそうです。地元にいる私がやっていないのも、自分の気持ち的にさみしいなと思って」

■「娘が生きたかった時間を生きて、娘のもとに帰った時に褒めてもらいたい」

紫桃隆洋さん(59)は、小学校5年生だった娘の千聖さんを亡くしています。

紫桃さんが「大川竹あかり」を始めたのは、地域で震災を伝えていく大切さを感じたからだといいます。

大川伝承の会 紫桃隆洋さん(59)
「13年っていう月日がたつと、津波を経験していない子どもたちが成長していく。その子どもたちに何をどう伝えていくのか、津波のことだけじゃなくて、『命』というものとして、きちんと何か受け継いでつないでいく、その中で何か作業しながら語っていく」

紫桃さんは語り部として、大川小の悲劇と防災の大切さを伝え続けています。

語り部活動をする 紫桃隆洋さん
「津波が大川小学校に到達する1分前に、やっと移動を開始したといわれています」

娘の千聖さんも、この大川小で津波の犠牲となりました。

トラウデン直美さん
「私も紫桃さんのお嬢さんと同い年で、小学校5年生だった。ここにいたのは私だったかもしれない」

紫桃隆洋さん
「13年経って、何か娘の成長を見ている感じがしますけど、私の胸の中には5年生のままなんですよ。最後に声をかけたり、抱きしめることができなかった。その無念さがずっと残っている。

何か伝える、話す、語る。娘が生きたかった時間を生きて、自分が命を落とした時に、娘のもとに帰った時に褒めてもらいたい。そういった思いで語りをしている」

子どもたちが避難すべきだったとされる学校の裏山。ここから今見えるのは、様変わりした街の様子です。

トラウデン直美さん
「街があったとは思えない、というか」

小5の次女・千聖さんを亡くした 紫桃隆洋さん
「(震災前の写真と)同じ場所から見ている風景ですけども、街が今はすっかり無くなってしまったと」

かつて学校を中心に街があったこの場所は、現在「災害危険区域」に指定され、住宅を建てることはできません。

紫桃隆洋さん
「たくさん堤防もできたし、街もできたし、ただ、昔の賑わいには戻んないですよ」

千聖さんの分も生きて、震災を語るだけではなく、震災の記憶が残るこの場所に、人が集まり、『命』を考えることが伝え続けていくことになるといいます。

紫桃隆洋さん
「新しい賑わいでもいいと思うんですよ。何かみんなが集まって、声がして、多分亡くなった子どもたちだけじゃなくて、地域の人たちも、そういった賑わいを楽しみにしているんじゃないかなと」

■24歳卒業生が見据える“復興のその先”

大川小のことを、地域で共に、伝えていく取り組み。

新しい挑戦を今年(2024年)から始めようとしている人もいます。大川小学校の卒業生、只野哲也さん(24)です。

2023年10月、只野さんが向かったのは、大川小の隣にある空き地。新たな目標の実現のため、この場所で今、あるプロジェクトを進めています。

大川小の卒業生 只野哲也さん(24)
「伝承館はあるが、少し落ち着いて腰を下ろして、お茶を飲みながらゆっくり話をする空間がないので、それをつくりたい」

東日本大震災で失われた賑わいを、大川地区に再び生み出すための拠点づくりです。

只野哲也さん
「大川に新たな象徴をつくることを最大のゴールにしている」

13年前の3月11日、当時11歳の只野さんは、津波にのまれながらも奇跡的に助かりましたが、祖父、母、妹の3人を失いました。

そして2015年に…

只野哲也さん(当時15歳)
「私は絶対に大川小の校舎を残してほしいと思います。原爆ドームが原爆や戦争の愚かさを伝えてきたように、大川小も地震や津波の恐ろしさや命の大切さを、何十年、何百年、何千年と、後世の人に伝えるきっかけになればと思います」

校舎を残すかどうか、住民の間で意見が割れるなか、只野さんは校舎を震災遺構として残すため、仲間たちと活動してきました。

大川小は伝承の…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20240307-6143489)

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