1975年2月6日に発売された風のデビューシングル。
オリコン1位を獲得して、累計ミリオンも達成している。
元々は「かぐや姫」の伊勢正三が1974年のアルバム『三階建の詩』のために書いた2曲のうちの1曲(もう1曲は「なごり雪」)で、シングルカットの要望が出るなど当初から評価は高かったものの、発表当初はかぐや姫のシングルとしては発売されなかった。

印象的なギターイントロは、編曲を担当した石川鷹彦によるものである。

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三
編曲:石川鷹彦

制作の経緯を伊勢自らが語っている。

それ〔注:『なごり雪』〕に反して、『22才の別れ』は計算して作った。実は、この2曲は同じアルバムに入っている。1974年に発表された『三階建の詩』というアルバムだ。このアルバムには2曲書いた。最初に『なごり雪』を、その次にもう1曲別の作品をレコーディングした。だけど、なんだか気に入らなかった。「これは売れないなぁ」と直感してしまったのだ。だから、1日待ってもらうことにした。その日、家に帰って、絶対売れる歌を作ってやろうと思った。そうして、徹夜で作ったのが『22才の別れ』だ。だから、『なごり雪』は自分の好きな世界が自然に沸き上がってできた作品、『22才の別れ』はヒットを意識して作った作品だ。

『22才の別れ』でうたわれている内容は──5年間付き合って来た男と女。22才になった女はそれまで付き合った男と別れて、他の男のところへ嫁いで行こうと決心する。女が男を嫌いになって、新しく好きになった男のところへ嫁いでいくというのなら納得できる。しかし、この歌の22才の女はそうではないのだ。

 あなたに さようならって
 言えるのは 今日だけ
 明日になって またあなたの
 暖い手に触れたら きっと
 言えなくなってしまう
 そんな気がして

明日またあなたの暖かい手に触れたら、きっとさよならはいえなくなってしまう、と言っている。ということは、女は男をまだ十分に愛しているということ。だが、愛しているのに別れて他の男のところへ嫁いでいくくらいだから、女の方にもよほどの理由があるのだろう。
22才の女はできることなら、今の男と一緒になりたかったに違いない。だが、男の方はまだ時期が早すぎるとかいろいろ思っていたのだろう。必然的に答えはあやふやになってしまう。そんなあやふやな態度が女をとまどわせるのだ。この男は本当に私のことを考えていてくれるのだろうか? 初めは小さな不安が、時がたつにつれて、心の中で大きな波紋となる。そんなとき、もしも他にきちんとした形を持った男が現れれば、そちらへ行ってしまうかもしれない。そんなときだれが女を責められるだろうか?

 私には 鏡に映った
 あなたの姿を 見つけられずに
 私の目の前にあった
 幸せにすがりついてしまった

『22才の別れ』は、女の弱い性と男のだらしなさを見事に表現した素晴らしい歌であると思う。

同じ時期に作られた『なごり雪』。
近年、この2曲は歌詞の意味について、「噂」と言うか「謎」が囁かれている。
2曲とも若い男女の”別れ”を唄っている。
”伊勢正三”ファンの間で囁かれている「謎」とは・・・
 
「2曲の中で描かれている男女は、同じカップルではないのか?」
 
同じ別れを「22才の別れ」では彼女が唄い、『なごり雪』では彼氏が唄った。
この2曲はアルバムの中で同時期に作られている。
よって、”伊勢正三”が2曲の詩でイメージした男女は同じ可能性が高い。
男とは”伊勢正三”自身だとする見方をした考察もある。

どちらの曲も大学卒業後、男が付き合っていた彼女にフラれている。
男はまだ大人への成長が始まっていない。
優しさはあるが精神的にも経済的にも不安定な時期。
女性にとって、将来を考えたら、その男について行けるような状況ではない。
それで付き合っていた男をフッて、別れてしまった。
シチュエーションは同じだ。
「あなたは暖かくて優しい人」でも「私の未来を考えてくれなかった」
そんな男に女は付いて行くことはなかった。
未練はあったのに。

 ひとつだけこんな私の
 わがまま聞いてくれるなら
 あなたは あなたのままで
 変わらずにいて下さい
 そのままで・・・・・・

#22才の別れ
#雪見みと