「源平盛衰記」
「祇園精舎の鐘の声~」のくだりをひとくさり述べたあと『平家物語』の粗筋を断片的に話し、それに関係しているかしていないか微妙なギャグやジョーク、小噺(時事ネタなど、現代の話でも全くかまわない)を連発、一段落ついたところでまた『平家物語』に戻る、という構成がとられる。小噺で笑いを取るほうが重要で、極端に言えば『平家物語』は数々の小噺をつなぎ止める接着剤の役割になっている。

初代 林家 三平
二つ目の時点で既に時代の寵児、そして落語協会の次代を支える若手の筆頭となっていた。真打への昇進ともなれば落語協会としてもやはり前座名でない立派な名を与える必要があった。五代目小さんは自らの前名で柳派の出世名である「柳家小三治」を三平に譲る事を考えた。これは柳派の正式な一員として育てる事を約束するようなものである。そして都合のいいことに三平本人の父の前名でもあった。一方、師匠七代目橘家圓蔵もまた自らの前名「月の家圓鏡」を三平に名乗らせたいという意向を持ち、さまざまな画策を行った。圓蔵は圓蔵で三平を橘家のホープ、そして自らの後継としたかったのである。三平は師匠圓蔵案(師匠の名を襲名)を一貫して拒み続けた。しかも小さん案(父の名を襲名)も受け入れず結局どの名跡も襲名することはなく「林家三平」のままで真打となったのである。そして三平の名を一代で大看板にした。

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