海の安全を守る海上保安官の中で、海に潜り人命救助にあたるのが、“海猿”とも呼ばれる『潜水士』です。その選考会が11月30日、北九州市で行われました。30日の選考会には、女性の海上保安官も参加しました。女性が選考に臨むのは海保史上初めてです。

緊張した面持ちでプールを見つめるのは、4人の若手海上保安官です。行われているのは、第7管区海上保安本部による『潜水士』候補の選考会です。

『潜水士』は海深く潜り、人命救助や捜索を行います。すべての海上保安官のうち1%に満たないという選ばれし者たちは、“海猿”として知られています。

30日の選考会には、女性海上保安官の姿がありました。

■浜地多実さん(23)
「潜水士の先輩方の姿を見て、今回受けようと決めました。男性には劣る部分はあると思いますが、気持ちで負けないように頑張ります。」

長崎県の五島海上保安署に所属する浜地多実さん(23)です。

海上保安庁の発足以来、これまでに女性の『潜水士』がいたことはなく、女性が選考会に挑戦するのも浜地さんが初めてです。

過酷な現場を耐え抜くためのタフさが求められる『潜水士』ですが、選考は性別に関係なく行われます。

■重信奈央 記者
「いま水中に潜りました。25メートル息継ぎなしで泳ぎ切れるか審査されます。」

挑戦者4人とも、10秒ほどで難なくクリアしました。

続いて行われたのは、300メートルクロールです。小学2年から高校3年までスイミングクラブに通っていた浜地さんは、ほかの挑戦者を突き放す力強い泳ぎを見せました。

■浜地さん
「水泳はやっていたので、絶対負けたくなかったので頑張りました。」

全力を出し切り、座り込んでいた挑戦者もいました。

■2回目の挑戦・山口雅也さん(24)
「去年よりもちょっと前半で力みすぎてしまいました。」

“狭き門”だからこそ、独特の緊張感が漂います。

午後からは、懸垂とシャトルランの体力測定が行われました。一回一回が真剣勝負です。

■浜地さん
「きつかったです。懸垂を一番課題としてきたので。悔いが残らないように意識して、力を出し切りました。」

私たちが数えたところ、浜地さんは20回以上体を持ち上げました。

■浜地さん
「海が好きなのもあって、小さい頃から“海猿”を見て、それに憧れて。本当に過酷なのは実際見ても感じましたし。だけどずっとなりたかったので、諦めず挑戦していこいうと思います。」

今回の選考結果が分かるのは年明けで、通過すれば広島県にある海上保安大学校での潜水研修に臨むことになります。

女性初の“海猿”は誕生するのか、挑戦はまだ始まったばかりです。

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