麦秋(ばくしゅう) 1951年製作
監督 小津安二郎
出演者 原節子 笠智衆 淡島千景 三宅邦子 菅井一郎 東山千栄子 杉村春子

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麦秋(ばくしゅう)とは、麦の穂が実り、収穫期を迎えた初夏の頃の季節のこと。麦が熟し、麦にとっての収穫の「秋」であることから、名づけられた季節。
秋ではなく初夏。

北鎌倉に暮らす間宮家は、初老にさしかかった植物学者の周吉とその妻・志げ、長男で都内の病院に勤める医師の康一、康一の妻・史子、康一と史子の幼い息子たち2人、それに長女で会社員の紀子という大家族である。まだ独身の紀子は、親友のアヤから同級生が結婚することになったという話を聞き、紀子の上司・佐竹からも“売れ残り”だと冷やかされる・・・。

Filmarksに投稿された感想・評価
1951年製作の映画。小津安二郎監督作品。『紀子三部作』と呼ばれる作品の一つ。
間宮家は周吉と妻志げ夫妻、長男の康一とその妻史子とその間に生まれた息子2人、そして独身の長女紀子で暮らしている。
紀子は結婚に興味はないが、周吉、志げ、康一は早く結婚してほしいと心配している。そんな紀子の元に会社の上司から縁談の話が届く。
同じく紀子三部作である『晩春』にとても良く似ていますが、こちらの方が父、母、兄、兄嫁、会社の上司、親友と人間関係がより複雑になっており、そこがまた面白いところです。
兄の一家も共に住んでるという、紀子にとってやや肩身が狭い部分もありますよね。
紀子と親友アヤの独身女組、結婚している女友達2人の4人による女子トークがたまりません。「ね〜」の応酬がツボです。紀子はもちろん原節子、笠智衆は今回は父ではなく兄康一役、父親役はばっかやってるのにまさか兄とは・・・その妻にはこちらもお馴染み三宅邦子、母親役は東山千栄子。隣人に杉村春子とほぼ『東京物語』のキャストで固めてます。
親友アヤには『早春』でヒロインを演じた淡島千景、紀子の上司役には『父ありき』、『風の中の牝雞』の佐野周二。小津ファミリーでガッチガチに固めた名作です。
・・・
今まで見てきた小津作品の中でもかなり好き。
打ち寄せる海、風船が飛んでいった空、鯉のぼりがはためく、何気ない風景。
そこに暮らす家族の日常。
若い笠智衆を見ると彼が幅広い年齢の役を演じられるのがよく分かる。
友人とや団欒でのユーモラスな会話が面白い。
だけれど、やはり戦争の影も感じられる。
小津作品の中での原節子は特に美しく、輝いている。
彼女ののびのびと自由に生きる姿は当時の女性の励ましにもなったのかもしれないと思った。
どの場面を切り取っても日本の言葉、所作の清らかな部分が際立つ作品。
なんだかショートケーキが食べたくなってきた。