県内で新型コロナウイルスの流行が拡大し、医療提供体制がひっ迫しています。
救急搬送では20回以上の受け入れ要請により、ようやく受け入れが可能な病院がみつかる事例もあり、医療現場からは危機感を訴える声も上がっています。

県によりますと、先月26日から今月2日までの1週間で、県内の54か所の定点医療機関で確認された新型コロナの新規感染者は1医療機関あたり48.39人。
先週と比べて8.91人増えました。

感染者の推計は1万2260人に上り、入院患者は先月末から1000人を超える状況が続いています。

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行して以降、県内では感染者が増加して病床の確保が厳しくなっていて、先月には仮設施設のケアステーションを立ち上げ患者を受け入れています。

また、県は5日の会見で酸素濃縮器を確保するため国と調整を始めたと明らかにしました。
酸素濃縮器は自発呼吸に支障をきたしている中等症以上の患者に使用されるもので、去年夏の流行の第7波では県は福祉施設などに機材を送って施設内で療養できる体制を構築しました。

沖縄赤十字病院の救急医佐々木秀章医師は、「現在、流行の収束の兆しはない」として医療現場のひっ迫に危機感を示しています。

▽沖縄赤十字病院佐々木秀章医師:
『搬送困難例と言われる30分以上の例も先週で90件、あと4回以上病院に受け入れ要請をした例が先週で53件という風に高止まりで、10回受け入れ要請とか20回を超える受け入れ要請をしてやっと搬入先が決まったというのも見られます』

また、5類に移行して以降、人の動きが活発となっていてコロナ以外の救急患者も増えていると言います。

▽沖縄赤十字病院佐々木秀章医師:
『第5類になったので人の動きが活発になっているんだろうなと感じています』『コロナ以外の疾病とか事故とかっていう方も2~3年前と比べたら増えている』『それに加えて第5類になってちょっと感染対策に対する意識が緩んできたことこれらが重なって今はやっているんじゃないかなと思います』

さらに、県内では風邪に似た症状で乳幼児が感染すると肺炎など重症化する恐れのある「RSウイルス」の感染者も増えています。

先月25日の時点では全国平均を上回る患者が確認されていて、小児の集中治療室・PICUも満床の状況となっていました。

▽沖縄赤十字病院佐々木秀章医師:
『本当にたくさんの小児救急患者が押し寄せている状況ですので、小児をやっている所はさらに一般の病院よりもひっ迫が強くなって、何とかやりくりしている状況ですけども、医療関係者としてはこれいつまで続くのか、どこまで増えるのか予測が見えないというのがとても怖いです』

乳幼児の間ではRSウイルスのほかに、気管支炎や肺炎などを引き起こすヒトメタニューモも流行しています。

佐々木医師は大人が感染対策をしっかり行う事で子どものリスクを減らすことに繋がることから、病院や高齢者施設などでのマスクの着用や手洗い・消毒を呼び掛けています。