劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室

監督/松木 彩(まつき あや)
下町ロケット(18)
半沢直樹(20)
などで演出を担当した人で

脚本/黒岩 勉(くろいわ つとむ)
キングダム(19) 共同脚本 
キングダム2(22) 共同脚本

出演/
鈴木亮平
賀来賢人
中条あやみ
要潤
小手伸也
佐野勇斗
ジェシー(SixTONES)
フォンチー
菜々緒

渡辺真起子
橋本さとし
鶴見辰吾
仲里依紗
石田ゆり子

テレビドラマの映画化
コロナ禍によるOA
その後の映画製作という難しいなか2年たっての上映。
劇中でも2年が経過していており、リアルタイムとのリンク性を計算しての脚本とも言える。

本格運用が開始されたTOKYO MER
東京都知事の直轄運用ということや最新の医療機器とオペ室を搭載した走る緊急救命室(ERカー)で現場に駆けつけて医療行為を行う…このスタイルは国にも採用され政令指定都で運用をするための準備を国が進めようとしていた。
それは国会議員側の打算と思惑も含めてのことだった。
その計画としてまず横浜にMERが計画される。そのチーフドクターは音羽(賀来賢人)の元恋人と噂のある鴨居(杏)だった。
そんな中横浜ランドマークタワーで大規模火災が起きる。
現場はTOKYOMERとYOKOHAMAMERで対処に当たるなか、ランドタワー最上階に多くの人が取り残されることが判明する。

年取ると涙もろくなるもので……
この映画は胸熱展開のオンパレードで、ガンガンと「狙ったように感動ポイントを突いてくる演出」
をわかっていながらどんどん胸が暑くなる展開は脚本力と演者の熱意ともいえる

やはり鈴木亮平の演技と熱量はハンパない。
それに引っ張られるように出演者全てがキャラクターが個性がつよく、それぞれに応援する気持ちが高まってくる。
賀来賢人も立場がますます偉くなって、さらなる選択肢の責任がのしかかり苦悩の表情が多い
が、もちろん活躍するシーンもある

比奈(中条あやみ)をはじめとしたMERのメンバーの成長も描きつつ
赤塚都庁(石田ゆり子)や駒場(橋本さとし)らの安定の司令室の緊張感もそのまま描かれている。
更に千住(要潤)といった、レスキュー隊隊長らも活躍もばっちり

新規キャラクターの鴨居(杏)の立ち位置も、王道の敵対ポジション。
もちろんシナリオ展開によって彼女の見せ場も作る

など 出演しているキャラクター全員が何らかの見せ場がある…という脚本のうまさは流石ともいうべきポイント。

少年ジャンプのような
仲間との信頼性
チームワークの重要性
個人を尊重する気持ち
といった「王道」ともいえる展開。
それ故のベーシックな展開に「飽き」を感じて低評価とする人もいるかもしれないが、
王道ゆえの「誰もが楽しめる映画の展開」とも言える。

横浜ランドマークタワーの火災の演出は「タワーリング・インフェルノ」を思いおこさせる。
あの映画も、徐々に徐々に上層階への火災が広がり、危機、また危機でした。
この映画では 救急医療の緊迫感と火災による緊迫感をうまくミキシングすることで、
緊張感あふれる128分に仕上がっている。

そしてこの映画を支えているのは、演出の巧さと作品音楽の良さ。
タラッタタ、タラッタタという
危機状態からの復活時に使われる音楽はとても耳に残り、音楽が流れるとともに
「間に合った!」
という安心感の演出につなげている。
音楽の使い方の妙であり、印象的なスコアを作った作曲担当3人の手腕とも言える。

戦隊シリーズの医療ドラマ版ともいうべき、成功し続ける医療ドラマではあるが、その緊迫感は演者の演技力の高さと熱意があって、緊迫感が続く映画でありながらもドキドキとワクワクが常に交差する映画。

テレビドラマシリーズの映画化のもっとも正当な作品とも感じる1本
ドラマシリーズを未見でも楽しめるので、GWにドキドキする映画を観たい人にはおすすめ

ぜひ、続編もしくはさらなる映画を作って欲しいと思えるドラマであり、期待してしまう作品

もちろん現実の救助活動はもっと過酷で、大変で、この映画のようなうまくいくものではない。
それ故にその部分を低評価とする人もいるかもしれない
しかし、だからこそこの映画を通して、医療従事者やレスキュー隊への感謝とリスペクトを持つ人が多く出てほしいとも思う。

しかし
死者はゼロです!
を伝える 工藤美桜 は相変わらず可愛いねぇ