新型コロナウイルス感染症の医療現場での負担軽減を図るためにさまざまな対策が取られる中、東京・世田谷区は発熱外来の逼迫(ひっぱく)を回避するために8月から導入した「オンライン診療」の成果を発表しました。

 世田谷区内では8月10日から9月2日までの24日間の実績として、オンライン診療の予約件数が1726件、診療件数は1589件で、このうち新型コロナ陽性と診断したのは1294件でした。オンライン診療を行った件数を年代別に見ると、20代や30代、40代など若い世代が中心ですが、中高年も利用しています。

 では、これが医療逼迫の回避に役立ったのか見てみます。

 世田谷区発熱相談センターには連日「医療機関の予約がいっぱいで受診できない」という相談の声が届いていました。件数はオンライン診療の開始前(7月25日~29日)は1日平均86件でしたが、オンライン診療開始後は1日平均26件まで減ったということです。世田谷区はこの変化について「オンライン診療の体制を確保したことで、紹介できる医療機関の選択肢が増えたため」と分析しています。世田谷区の保坂展人区長も会見で「オンライン診療が医療逼迫や混雑を解消する役割を果たし、対面診療が必要な高齢者が受診しやすい体制がつくれたと思う」と、オンライン診療の効果を強調しています。