
ノーベル賞授賞式でのジョン・ジャンパー氏(右)とデミス・ハサビス氏(画像:Nobel Prizeの動画より)
AIによるタンパク質構造予測システム「AlphaFold」の開発を主導したノーベル化学賞受賞者のジョン・ジャンパー氏(41)は6月19日(米国時間)、自身のXで、9年近く在籍した米Google DeepMindを離れて米Anthropicに移ると明らかにした。投稿では「(しばらく充電期間を取ってから)Anthropicに参加する」と記している。
ジャンパー氏は、DeepMindでAlphaFoldチームを率いた中心人物。AlphaFoldはアミノ酸配列からタンパク質の立体構造を予測するAIで、これまでに2億を超えるタンパク質の構造を予測した。実験による構造解明には数カ月から数年を要することもあり、生物学や医療の研究を大きく加速させたと評価されている。この業績により、ジャンパー氏はDeepMindのデミス・ハサビスCEO(49)とともに2024年のノーベル化学賞を受賞した。
ジャンパー氏はXで、博士号取得からわずか半年でAlphaFoldチームを任せてくれたハサビス氏やDeepMindのチームに謝意を示し、DeepMindを「特別な場所だ」と表現した。ハサビス氏もこれに返信し、9年間のパートナーシップに感謝するとともに、「AlphaFoldで成し遂げたことは世界を変え、科学と医療におけるAIの可能性を示した」とたたえた。
Anthropicでの役職や着任時期は明らかにされていない。Anthropicは2026年に入って科学分野へのAI応用を強化しており、ダリオ・アモデイCEOはかねて、AIが生物学や創薬の進歩を大きく加速し得るとの見方を示している。
今回の移籍は、AI人材の獲得競争が激化する中での出来事でもある。直近では、米Googleの著名エンジニアで「Gemini」の開発を主導したノーム・シャジーア氏が米OpenAIへ移っており、Googleが短期間に主要人材を相次いで競合へ引き抜かれた形となっている。