2026年06月15日 11時41分
AI

ブラジル・リオデジャネイロ市の公営IT企業IplanRIOが開発したと発表したAIモデル「Rio 3.5 Open 397B」について、既存のAIモデル2つを約6対4の割合で混ぜたものではないかとの指摘が登場しました。指摘を受けた公開ページは内容が書き換えられ、IplanRIO側は「途中段階のモデルを誤ってアップロードした」と説明しています。
Rio-3.5-Open-397B ≈ 0.6 x Nex-N2_pro + 0.4 x Qwen · Issue #4 · nex-agi/Nex-N2
https://github.com/nex-agi/Nex-N2/issues/4

prefeitura-rio/Rio-3.5-Open-397B · Hugging Face
https://huggingface.co/prefeitura-rio/Rio-3.5-Open-397B
質問に答えたり文章を作ったりできる大規模言語モデルを一から開発するには、大量の学習データや高性能な計算設備が必要です。そのため、公開済みのモデルを土台にして追加学習を行い、用途に合わせて性能を調整する開発手法が広く使われています。
既存モデルを活用する方法には、AIが学習した数値である「重み」を一定の割合で混ぜる手法である「モデルマージ」もあります。近い構造を持つモデル同士であれば、一方の能力を残しつつ別のモデルの特徴を取り込むことが可能です。
Rio 3.5 Open 397Bの公開当初の説明では、オデジャネイロ市の公営企業であるIplanRIOが開発し、アリババの「Qwen3.5-397B-A17B」をベースに追加学習したモデルとされていました。プログラミングや数学など複数の性能試験で土台のQwenを上回り、最先端の公開モデルに匹敵する性能を備えるとも主張されていました。
ところがAI開発組織のNex-AGIがRio 3.5 Open 397Bの中身を調べた結果、Nex-AGIの「Nex-N2-Pro」とQwen3.5-397B-A17Bを混ぜたモデルである可能性が濃厚であることが明らかになりました。Nex-N2-ProもQwen3.5系列を土台にしているため、両モデルは重みを混ぜられるほど近い構造を持っています。
Nex-AGIによると、AIに「あなたはRioです」と教える固定の指示を外して質問したところ、79%の割合で「Nex-AGIのNex」と名乗り、「Rio」と名乗った回答は0%だったとのこと。Nex-AGI独自の組織紹介まで再現したと報告されています。

さらに、Nex-AGIが重みを保存する数値のまとまりである「重みテンソル」を全60層にわたって比較すると、ほぼすべてがNex-N2-Proを約60%、Qwenを約40%混ぜた値と一致することが判明。一般的な追加学習を行ったモデルでは説明しにくいほど一致度が高く、独自の学習を行った証拠は確認できなかったというわけです。
指摘を受けてIplanRIOは、モデルを混ぜた後に強力なAIの回答を教師役として追加学習する「オンポリシー蒸留」を実施したと主張。Rio 3.5 Open 397Bの公開ページに「Nex-N2-ProとQwenをマージして作ったモデルである」との説明を追記し、公開されていたファイルについては蒸留を終えた完成版ではなく、モデルを混ぜただけの途中版を誤ってアップロードしたと説明しました。
IplanRIO側は混乱を謝罪し、正しい蒸留済みモデルをできるだけ早く再公開すると述べています。
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