Microsoft Build 2026キーノート
Microsoftの開発者向けイベント「Microsoft Build 2026」が6月3日(米国時間)、米サンフランシスコとオンラインとで開幕した。
初日のキーノートでは、AI関連を中心に、新プロダクトや新機能が多数発表。
Windows AI APIがGPUやCPUでも利用できるようになったことや、Windowsのローカルで動作するSLM、RTX Sparkを搭載した開発者向けAIミニPC、エージェント前提の新デバイス「Project Solara」など特に注目できる動きも多い。以下、主な新発表をピックアップしてまとめる。
Windows AI APIがNPU以外にも対応、GPUやCPUでも利用可能に
ローカルAIモデルを利用するWindows AI APIが、NPUだけでなく、CPUやGPUにも対応した。パブリックプレビューとして、Windows 11に搭載されたSLMがGPUで、ビデオの超解像と音声認識がCPUで利用できるようになる。
Windows AI APIが、NPUだけでなくCPUやGPUにも対応Windowsでローカル動作するSLMを2つ発表
PCでローカル動作する次世代のSLMが2つ、プレビュー版として発表された。
「Aion 1.0 Instruct」は、現在のWindowsのSLMより3.4倍小さく、要約が6倍早く、レスポンスが2倍速い。同日よりEdge Insiderチャンネルでプレビュー版として試用でき、7月にはHugging Faceで公開される。
「Aion 1.0 Plan」は、ローカルで動く推論(reasoning)およびツール呼び出しのモデルで、コンテキスト長は32K。
関連記事

システム・ファイルシステムWindows
Microsoft、新しいオンデバイスモデル「Aion 1.0 Instruct」「Aion 1.0 Plan」を発表
次世代のSLMモデル2つが発表
Aion 1.0 Instruct
Aion 1.0 PlanRTX Sparkを搭載した開発者向けAIミニPC「Surface RTX Dev Box」
NVIDIAのWindows向けSoC「RTX Spark」を搭載したAIノートPC「Surface Laptop Ultra」に続き、新たに同じくRTX Sparkを搭載した開発者向けAIミニPC「Surface RTX Dev Box」が発表された。
Surface Laptop Ultraと同様に、20 CPUコアと最大128GBのユニファイドメモリを備えて、1FLOPSの性能を持ち、2026年秋に登場するという。
基調講演には、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOも台北からリモートで登場し、Microsoftのサティア・ナデラCEOと対談した。
Surface RTX Dev Box
待ちリストに登録受付中
リモートで登場したジェンスン・フアンCEO(右)と、Microsoftのサティア・ナデラCEO(左)Windows 11の開発者向け機能の強化
Windows 11の開発者向け機能の強化も発表された。以下のような機能が加わるとされ、Windows 365ではあらかじめ設定される。
・ Coreutils for Windows: Linuxなどで使われている基本コマンド集の「Coreutils」のWindowsネイティブ版。一般提供開始
・ WSL containers: WindowsのネイティブコマンドからLinuxコンテナーを操作し実行する機能。コンテナーからGPUも利用できる。まもなくパブリックプレビュー予定
・ Intelligent Terminal: ターミナル型のAIエージェントをターミナルに直接組み込む。実験的なプレビュー版として利用可能。
・ Windows Developer Configurations: 開発者環境をコマンド1つでセットアップする。たとえば、WSLのセットアップスクリプトにより、homebrew、zsh、Starshipなどのお気に入りのツールやワークフローを導入できる
関連記事

生成AI文章生成
Microsoft、AIエージェント統合の「Intelligent Terminal 0.1」を試験公開
Windows 11の開発者向け機能の強化
Coreutils for Windows
WSL containers
Intelligent Terminal
Intelligent Terminalの設定でエージェントを選ぶ
Windows Developer Configurationsエージェント前提の新デバイス「Project Solara」を発表、名札型、据置型の2種類
さらに、新しいデバイスのフォームファクター「Project Solara」が発表された。エージェントファーストのデバイスで、現在はまず、置時計のような据置型と名札のようなポータブル型の2種類がイメージされている。
据置型は、Amazon Echo Showなどのような形で、AIエージェントからの情報を表示したり、タップで指示したりする。デバイス間のハンズオーバーもサポート。Mediatekのチップを搭載。
ポータブル型は小さめのスマートフォンのような形で、AIエージェントに音声で指示してタスクを実行させたりできる。Qualcommのチップを搭載。
Project Solaraとしては、エンタープライズレディなセキュリティや信頼性、UI/UXがフォームファクターごとに適応するジャストインタイムUI、独自のエージェントを導入できる拡張性を3つの柱としている。
今後数ヶ月のうちに、AccuWeather、Best Buy、CVS Health、Levi’s、Targetなどと協力して試験運用を開始する予定。
Project Solara
据置型
ポータブル型
Project Solaraの3つの柱
今後数ヶ月のうちに、試験運用を開始する予定AIエージェントのための「IQ」シリーズに、「Web IQ」が登場
Microsoft 365のナレッジをAIエージェントで活用するための「IQ」シリーズに、「Web IQ」が登場した。組織外のWebナレッジを組織内のナレッジと同様にAIエージェントで扱うものだ。この
こうしたWeb IQ、Work IQ、Fabric IQ、Foundry IQは、「Microsoft IQ」として統合して扱われる。
Web IQ
Web IQ、Work IQ、Fabric IQ、Foundry IQを「Microsoft IQ」として統合して扱われるAIエージェントをサンドボックスで動かす「MXC」発表、OpenClawも安全に使える?
AIエージェントをWindows内のサンドボックス環境で動かす「Microsoft Execution Containers(MXC)」が早期プレビューとして発表された。AIエージェントのアクセスできるものをあらかじめ宣言して、それ以外のものへのアクセスを防ぐもの。
すでに何社かのパートナーがMXCへの対応を表明。その中でもナデラCEOは、「OpenClawがMXCの力によってWindows上で動くことをアナウンスする」と表明した。
壇上には、OpenClaw Foundationからの登壇者が登場して、MXCでOpenClawを動かすところをデモ。さらにサプライズとして、OpenClaw開発者のPeter Steinbergerも登場し「これなら会社でOpenClawを使える」と語った。
Microsoft Execution Containers(MXC)
MXC対応パートナー
OpenClawがMXCの力によってWindows上で動く
MXCのサンドボックスの設定
MXC上でOpenClawが動くデモ
OpenClaw開発者のPeter Steinbergerも登場GitHub CopilotにGUIのアプリが登場「GitHub Copilot app」
開発関連では、GitHub CopilotのGUI版のAIコーディングエージェント「GitHub Copilot app」が登場した。
GitHub Copilot app
GitHub Copilot appのデモパーソナルエージェントの「Copilot Autopilots(Microsoft Scout)」
MicrosoftのCopilotファミリーには、チャット、Cowork、Codeがある。ここに新しく、パーソナルエージェントの「Autopilots」、別名「Microsoft Scout」が加わった。Microsoft 365と統合され、Teams、Outlook、OneDrive、SharePoint、あるいはチャットやメールなどのデータと接続する。
CopilotファミリーにAutopilotsが加わる
Copilot Autopilots
Microsoft Scout
Microsoft Scoutのデモ動画AIモデルを7つ発表、画像生成2種類、音声文字起こし、推論、音声生成2種類、コード生成
MicrosoftのAIモデルであるMAI(Microsoft AI)シリーズの最新版として、7つのモデルが発表された。
画像生成の「MAI image-2.5」と「MAI image-2.5-Flash」、音声文字起こしの「MAI Transcribe-1.5」、推論(reasoning)モデルの「MAI Thinking-1」、音声生成の「MAI Voice-2」「MAI Voice-2-Flash」、コード生成の「MAI Code-1-Flash」だ。
7つのAIモデルを発表
画像生成の「MAI image-2.5」と「MAI image-2.5-Flash」
音声文字起こしの「MAI Transcribe-1.5」
音声生成の「MAI Voice-2」「MAI Voice-2-Flash」
推論(reasoning)モデルの「MAI Thinking-1」AIモデルをチューニングする「Frontier Tuning」
基盤モデルから、組織内に合わせてチューニングしたAIモデルを作る「Frontier Tuning」も発表された。まずはプライベートプレビューから開始される。
Frontier TuningAIエージェントをモニタリングする「Agent 365」ではSDKが提供開始
AIエージェントのセキュリティの分野では、Agentをモニタリングし管理する「Agent 365」において、「Agent 365 SDK」が一般提供開始された。またローカルのエージェントへの対応も発表された。
Agent 365 SDK
Agent 365のローカルエージェント対応
Agent 365 SDKのデモ
そのほか、AIでセキュリティを守る分野では、5月に発表された、百以上のAIエージェントがソフトウェアの脆弱性を検出する「MDASH」も紹介された。
百以上のAIエージェントがソフトウェアの脆弱性を検出する「MDASH」
MDASHのデモMicrosoft FoundryやMicrosoft Fabricにも機能追加
Azure上のAIプラットフォーム「Microsoft Foundry」では、Hosted Agentsの機能追加として、デプロイ機能の強化や、耐久性のツール、分離機能などがアナウンスされた。
また、パートナーシップによりFireworks AIのモデルが利用可能になったこともアナウンスされた。
データ分析プラットフォームMicrosoft Fabric上のマネージドアプリケーションバックエンドのSDK「Rayfin」も登場した。現在、パブリックプレビューとされている。
AIコーディングに対応したオンラインIDE「Replit」とのパートナーシップもアナウンスされた。開発したアプリをFabricにデプロイできる。
Microsoft FoundryのHosted Agentsの機能追加
Fireworks AIのモデルが利用可能に
Microsoft FabricのSDK「Rayfin」
ReplitとのパートナーシップAI用ASICもアピール、推論用「Maia 200」は年内展開
1月に発表された、推論(inference)のためのAIアクセラレーターチップの新版「Maia 200」も紹介された。2026年中に世界的に展開予定。
関連記事

半導体/周辺機器その他
【笠原一輝のユビキタス情報局】Microsoft、低コストなAI推論処理チップ「Maia 200」 – PC Watch
推論のためのAIアクセラレーター「Maia 200」
また、Microsoftの独自ARM64 CPU「Cobalt 200」を使ったAzure上の仮想マシン「Azure Cobalt 200VM」も発表された。早期アクセスプレビュー開始。
Azure Cobalt 200VMが早期アクセスプレビュー開始AIによる科学技術研究や、量子チップ新型の「Majorana 2」
そのほか、AIエージェントを科学技術研究に利用できる「Microsoft Discovey」が一般提供開始された。
Microsoft Discoveyが一般提供開始
量子チップ「Majorana」の新型「Majora 2」も発表された。
量子チップ「Majorana 2」
サティア・ナデラCEOの持ったMajorana 2