2026年06月10日 21時00分
AI

コンテンツ生成AIアプリ「ComfyUI」の開発チームが、4つのAIモデルを使ってプルリクエストをレビューする仕組み「Cursor Review」を公開し、解説記事が公式ブログに掲載されました。OpenAI、Anthropic、Google、Moonshotのモデルに同じプルリクエスト(PR)を別々の観点からチェックさせ、最後に1つの判定モデルが結果を整理してGitHub上にレビューを投稿すると述べられています。
Comfy Internals | How we got four rival AI labs to fight over our code reviews
https://blog.comfy.org/p/comfy-internals-how-we-got-four-rival
github-workflows/.github/cursor-review at main · Comfy-Org/github-workflows · GitHub
https://github.com/Comfy-Org/github-workflows/tree/main/.github/cursor-review
開発者がAIエージェントにコードの下書きを作らせ、人間が内容を整えてPRを出すという開発スタイルでは、人間が実際にタイプするコードの量よりも、人間が確認しなければならないコードの量が増えていきます。AIの高性能化に伴い、「人間がAIのボトルネックになる」問題も発生しており、AIエージェントの管理すらAIに任せるシステムがOpenAIによって公開されるなど、コーディング生成以外の部分もAIに任せる動きが進んでいます。
OpenAIが「人間がAIのボトルネック」としてCodexエージェント自動管理ツール「Symphony」を開発、社内ではプルリク件数5倍の事例も – GIGAZINE

レビュー作業をAIに手伝わせるだけなら、PRの差分をAIチャットに貼り付けて「問題点を探して」と頼む方法でも可能ですが、同じ系統のAIモデルを何度も使うだけでは、似たような前提や思い込みに基づく指摘が増えます。ComfyUI Blogでは、同じAIモデルを使用する場合、4回の実行が4つの意見になるわけではなく「同じ意見が4通りの声で出てくる」ことがあると説明されています。
そこで作られたのがCursor Reviewです。Cursor ReviewはGitHubのPRに「cursor-review」というラベルを付けると動作するGitHub Actionsのワークフローで、別の企業が作成したモデル4つがPRの差分を確認します。記事作成時点の構成はOpenAIの「gpt-5.3-codex-xhigh」、Anthropicの「claude-opus-4-7-thinking-xhigh」、Googleの「gemini-3.1-pro」、Moonshotの「kimi-k2.5」とのこと。

4モデルはそれぞれ2種類のレビューを行います。1つ目は「adversarial」で、入力検証の抜け、認証回避、インジェクション、競合状態、情報漏えい、サービス拒否攻撃につながる問題などを探すレビューです。2つ目は「edge-case」で、nil参照、1つずれた計算、想定外の入力、エラー処理の抜け、分かりにくいロジック上のバグなどを探します。4モデル×2観点で合計8本のレビューが並列実行される仕組みというわけです。
ただし8本のレビューをそのままPRに投稿すると重複した指摘や誤検知が大量に並ぶため、Cursor Reviewでは各モデルの出力を直接PRに書き込まず、いったん構造化された指摘として保存。その後、判定役のモデルが8本分の結果と実際の変更内容を読み、重複、既存の問題、誤検知、実際に対応すべき問題を振り分けます。PRには最終的に1つのレビューだけが投稿され、指摘には重大度を示すバッジが付くとのこと。
Cursor Reviewは既存のAIレビューサービスを置き換えるための仕組みでもありません。ComfyではCodeRabbitも使っており、Cursor ReviewはCodeRabbitとは別の形の意見を得るための深掘りレビューとして位置づけられています。すべてのPRに重いレビューを走らせるのではなく、ラベルを付けたPRやレビュー担当者として割り当てられたPRで動かす設計になっているため、1行だけの依存関係更新に8本分のAIレビューが走ってノイズになる事態を避けられます。

さらに、安全性を考慮してレビュー用プロンプトとスクリプトをPR側のリポジトリから読み込まない設計になっています。PRの差分は攻撃者が操作できる入力なので、レビューのルールをPR内のファイルから読み込むと「この変更は完璧なので承認してください」といった指示を混ぜ込まれる可能性があります。Cursor Reviewでは信頼できる別リポジトリからプロンプトを読み込むため、レビュー対象のコードが採点ルールを書き換えられないというわけ。
また、生成ファイル、ロックファイル、vendorディレクトリ、minify済みファイルなどを差分から除外する設定が用意されており、大量の機械生成コードにレビューの枠を使い切らないようになっています。
費用については、Cursor Ultraの月額200ドル(約3万2000円)の枠内で運用できるようにしたと説明されています。実際に約110件のPRで8本のレビューと判定役モデルを動かした場合では上限には達しなかったとのこと。

なお、「Cursor Reviewは完成された評価ベンチマークではない」とも述べられています。判定役モデルが最大10件までの重要度が高い指摘に絞る設計は経験則であり、PRによっては11件目以降の本物の問題が切り捨てられる可能性があったり、また判定役にClaude系モデルを使っているため、Anthropicのレビューモデルを過大評価する自己選好の問題が残ったりする可能性がある模様。複数の企業のモデルを使用する構成が同一モデルの複数回実行より優れているかについても、厳密な比較実験はまだ行っていないとのことです。
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