【生成AI事件簿】ChatGPTとは違う勝ち筋、OSに溶け込むSiri AIが仕事の雑務を肩代わり、後発がゆえの逆転戦略
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小林 啓倫
経営コンサルタント
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2026.6.10(水)
Siri AIは「あなたに代わってiPhoneを操作するAI」になる(筆者がChatGPTで生成)
2026年6月8日、カリフォルニア州クパチーノのApple Park。午前10時(現地時間)に始まったアップルのWWDC(世界開発者会議)2026の基調講演は、二重の意味で節目だった。
ひとつは、9月1日にCEO職をジョン・ターナスに譲り、自らは執行会長に退くティム・クックにとって、これが最後のWWDC登壇だったこと。もうひとつは、その舞台でAppleが、生まれ変わった音声アシスタント「Siri AI」を披露したことである。画面上の内容を理解し、個人の文脈を参照し、アプリをまたいで操作するその姿は、「iPhoneを操作可能なAIエージェント」と呼べるものだった。
Appleにとってこのお披露目は、単なる新機能の発表ではない。同社が過去2年、AI競争で出遅れた巨人と評されてきたことに対する、遅れてきた回答だった。新しいSiriは、いったいどのような存在になるのだろうか。
「画面を見て、アプリをまたいで動く」アシスタント
基調講演でAppleが見せた新しいSiri「Siri AI」は、文字通りゼロから作り直されたものだ。その中核は3つの能力に集約される。
第1に、画面上の内容を理解する「オンスクリーン・アウェアネス(On-Screen Awareness)」。いま利用者が画面で見ているものをSiri自身が把握する能力だ。これにより、PDFやウェブページ、メールを開いたまま「これを要約して」「この日程をカレンダーに入れて」と頼める。
第2に、複数のアプリをまたいだ複数段階の操作。メール、カレンダー、メモ、写真、連絡先といった個人データを横断的に参照し、一連のタスクを自律的にこなすことができる。
第3に、より自然な対話だ。チャット型のインターフェースを介してやり取りでき、声の速さや表現の豊かさも調整できる。音声でもテキストでも操作することが可能だ。
象徴的なのは、Appleが「スタンドアロンのSiriアプリ」を用意したことである。これは見た目も使い勝手も、ChatGPTやClaude、Geminiといったチャットボット・アプリにそっくりだ。かつてAppleは、こうした独立したチャットアプリを必要としないと判断していた。その方針を、同社は自ら覆したことになる。
もうひとつ見逃せないのが、Siri AIを支える「頭脳」の正体だ。