記事のポイント
OpenAIはスカイとの契約により、検索マーケターが日々使うワークフローにChatGPT在庫を組み込もうとしている。
ChatGPTの購買意図データは、広告主にとって単なるテスト対象から本格投資の対象へ変わる可能性がある。
OpenAIはクリテオやスカイを取り込みつつ、配信とインテントデータの支配は維持する独自路線を進めている。
OpenAIは、マーケターに対し、ChatGPTをパフォーマンスチャネルではなくテストチャネルとして扱うよう伝えているのかもしれない。だが、同社のパートナー契約、技術構築、測定をめぐる動きは、同社が実際に欲している広告主について、まったく別のストーリーを物語っている。
最新の動きは、コマースメディアプラットフォームのスカイ(Skai)との契約である。この件を知る2人の情報筋が明らかにした。
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以前のクリテオ(Criteo)との契約と同様、その狙いは、広告主がすでに使っているインフラを通じてChatGPTの広告在庫にアクセスできる道筋を用意することにある。ただし、クリテオがデマンドアグリゲーターとして機能し、自社の広告主との関係やコマースデータをOpenAIの広告在庫に直接持ち込むのに対し、スカイは管理レイヤーである。そして重要なのは、その背後にいる買い手の種類が異なることだ。Amazon、ウォルマート、Googleを横断してスカイ経由でキャンペーンを運用している検索マーケターは、プログラマティックプラットフォームにほとんど触れない可能性がある。彼らにとってこの統合は、すでに毎日使っているワークフローに、すでに理解している広告在庫と並ぶ形でChatGPTを加えるものとなる。
スカイはコメントを控えた。
「OpenAIは、プログラマティックエコシステムのなかの単なる新たな広告在庫、あるいは従来型の広告プラットフォームになることを避けようと懸命に取り組んでいるのだと思う」と、ブレインラブズ(Brainlabs)の統合メディア担当マネージングディレクター、リズ・デアンジェリス氏は述べた。「スカイやクリテオのような企業と提携することで、OpenAIは小売とコマースの領域により明確に位置づけられる。同時に、価値あるショッピングデータや購買データも解放できる」。
テストに値する場から、投資に値する場へ
その購買データこそが、テストする価値のあるプラットフォームと、本格的にコミットする価値のあるプラットフォームを分けるものだ。そして、それが実際に機能するなら、売り文句は自ずと成立する。ChatGPTに特定のSUV2車種を比較するよう尋ねている人は、ただ閲覧しているというより、すでに選択肢を絞り込んでいる。クエリは、その人がファネルのどこにいるのかを、マーケターに正確に教えてくれる。これは必ずしもCPMの瞬間ではなく、成果に応じて支払うべき瞬間である。
「スカイには、そのモデルに接続するためのインフラ、小売事業者との関係、広告主のワークフローがすでにある」と、コレクティブ・メジャーズ(Collective Measures)のパフォーマンスメディア担当グループディレクター、ローレン・ビーリング氏は述べた。「そうしたエコシステムの内側にすでにいる企業と提携することで、OpenAIは購買ファネルのなかでも、もっとも意図が高まる瞬間に入り込むことができる」。
旅行のヒント、ショッピング比較、新車のリサーチ。人々がChatGPTに持ち込む問いは、購買判断にかなり近いところで終わることが多い。多くの観察者が強調してきたリスクは、そうした行動が実質的にもうひとつのバーチャルなショーウィンドウへと変わったときに何が起きるのか、という点である。
現時点でChatGPTがユーザーにとって価値を持つ理由のひとつは、ブランドによって操作されているようには感じられないことにある。それが変わる瞬間、つまり広告が回答の下に置かれているのではなく、回答そのものを形づくっているように感じられ始める瞬間こそ、全体を買う価値あるものにしているインテントシグナルが損なわれ始める瞬間である。OpenAIはそれを理解している。だからこそ、テスト予算を使うよう主張し続けているのだろう。同社はパフォーマンス広告主を求めている。ただ、そのためにはまず、プロダクトを彼らに対応できる状態にする必要がある。
プログラマティックの外側にいる買い手を取り込む
「ザ・トレード・デスク(The Trade Desk)は、より多くの企業にとってプログラマティックを利用しやすくした。しかし最終的には、クリテオのようなプラットフォームやスカイのようなAPIパートナーが、より多様な種類の広告バイヤーにとってアクセスしやすくしている。純粋なプログラマティックプラットフォームのなかで日々活動していない買い手も含まれる」と、マイル・マーカー(Mile Marker)の最高分析責任者、アンソニー・コスタンゾ氏は述べた。
「ひとつには、プログラマティックディスプレイや動画をまったく買わない可能性の高い検索マーケターが、クリテオやスカイを通じてアクセスできるようになる。また、これらのプラットフォームは近年、既存の広告在庫の上に乗る形で、買い手と売り手の双方にとってアクセスしやすくすることに非常に成功してきた」。
このような契約が存在していること自体が、OpenAIが標準的なプラットフォームの定石からいかに離れているかを物語っている。Google、メタ(Meta)、Amazonはいずれも、閉じた独自の広告システムを構築してきた。データは社内にとどまり、広告購入は自社ツールを通じて行われ、サードパーティベンダーは彼らの条件のもとでのみアクセスを許される。
OpenAIは同じ手を打っているのか
OpenAIは、少なくとも現時点では違うことをしている。クリテオ、スカイ、パックビュー(Pacvue)を自社エコシステムに迎え入れながら、配信と広告在庫の価値を生むインテントデータのコントロールは維持している。これが恒久的な戦略上の選択なのか、それとも自社インフラを構築するあいだの一時的な対応なのか。より興味深い問いはそこにある。思い出すべきなのは、ウォルマートが4年間にわたってザ・トレード・デスクに自社のショッパーデータへの独占アクセスを与え、学ぶべきことを学んだあと、契約を更新しない判断を下したことだ。OpenAIも同じ手を打っているのかもしれない。
この記事が公開されるまでに、OpenAIはコメント要請に応じなかった。
[原文:Future of Marketing Briefing: OpenAI is working with Skai to bring retail and commerce advertisers into ChatGPT]
Seb Joseph(翻訳・編集:的野裕子)