デジタルインフラ大手の米Vertivは6月1日、NVIDIAのAI開発基盤「Omniverse DSX Blueprint」に統合された新たなデジタルツイン機能を発表した。自社のインフラソリューション「Vertiv SmartRun」をベースに、AIデータセンターの設計・検証・導入プロセスにおける効率化を狙う。
生成AIや大規模AIモデルの需要拡大に伴い、データセンターはこれまでにないレベルで高密度・高電力化が進んでいる。GPUクラスターの急拡大に対応するため、電力供給、冷却、制御などのインフラ設計は複雑化しており、従来の文書ベースの設計手法では迅速な導入や最適化が難しくなっている。中でも電力・熱設計とサーバー構成の連携不足は、AIインフラ構築のボトルネックとされてきた。
こうした課題に対し、「Vertiv SmartRun」のデジタルツインは、インフラ全体をモデルベースで統合的に設計・シミュレーションできる環境を提供する。仮想空間上で電力、冷却、ネットワーク、制御系などの構成要素を再現し、実際の構築前に検証できるため、設計後期の手戻りや運用リスクを低減できる。また、設計段階から関係部門間の連携を強化し、開発スピードの向上にも寄与する。
今回の取り組みは、NVIDIAのOmniverse DSXと連携している点がポイント。Omniverseは物理空間を精密に仮想再現するためのシミュレーション基盤で、DSX BlueprintはAIインフラ構築向けのデジタルツイン環境を提供する。Vertivのモデルが加わることで、コンピューティング基盤と物理インフラを統合したフルスタック設計が可能となる。
NVIDIAのVladimir Troy氏は、「AIファクトリー構築にはコンピューティングとインフラの共同設計が不可欠」とし、Vertivの統合により複数世代にわたるAIインフラの最適化が可能になると説明する。今後はギガワット級の大規模データセンターにおいても、事前にシミュレーションしながらの設計が標準となる見通しだ。
本技術は、設計段階にとどまらず、導入後の運用やライフサイクル管理にも適用される。デジタルツインを通じてリアルタイムの状態監視や将来の増設計画をシミュレーションできるため、長期的なインフラ最適化にも貢献する。AIインフラは数年単位で進化するため、こうした継続的な最適化機能の重要性は高い。
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