グーグルの「Gemini」、国際プログラミング大会で金メダル級の成績–AGI実現への可能性示す – ZDNET Japan

 近年、大規模言語モデル(LLM)は、ソフトウェア開発者にとって欠かせないツールとなっており、アプリケーションの構築や改良、展開を迅速かつ効率的に進めるために活用されている。こうした流れの中で、Googleは自社の先端AIモデルの1つが、科学的発見につながる可能性のある画期的な成果を達成したと発表した。その成果には、人工汎用(はんよう)知能(AGI)の実現につながる可能性も含まれているという。

 Googleが米国時間9月17日に発表したところによれば、同社の主力AIモデル「Gemini 2.5 Deep Think」が、問題を複数の構成要素に分解して解決する高度な推論能力を駆使し、2025年の国際大学対抗プログラミングコンテスト(ICPC)世界大会で金メダル級の成績を収めた。

 同社はブログ投稿で、「Gemini 2.5 Deep ThinkのAdvanced版は、自動化された統合型チームのように機能する」と述べている。問題に取り組む際には、複数のGeminiエージェントがそれぞれ独自の解法を提案し、コードの実行やテストを行うためのターミナルを活用しながら、全ての試行結果をもとに解法を反復的に改善していくという。

 Geminiの驚くべき成果は、世界的に権威があり、かつ難易度の高い大学レベルのコーディングコンテストとして知られるICPCで示された。2025年の決勝大会には、103カ国・約3000の大学からチームが参加し、9月4日にアゼルバイジャンのバクーで開催された。各チームは、5時間以内に複雑な問題群を解決しなければならず、誤答は一切許されない。得点が与えられるのは、完全な正解のみである。

 Geminiはこの大会で12問中10問を正解し、金メダル級の成績を達成。人間の参加者と比較して、総合得点で2位となった。

 さらに、Gemini 2.5 Deep Thinkは、OpenAIの実験的推論モデルとともに、2025年の国際数学オリンピックでも金メダル級の成績を収めたことが、両社によって7月に発表されている。

 Googleはブログ投稿で、「競技プログラミングと数学的推論におけるこれらの成果は、Geminiが抽象的な問題解決能力において飛躍的な進歩を遂げたことを示しており、AGIへの道のりにおける重要な一歩である」と述べている。

 Googleが「前例のない瞬間」と表現した出来事として、Geminiは大会で出題された12問のうち、人間の参加者が誰も解けなかった1問を、迅速かつ正確に解いたという。一方で、Geminiが解けなかった2問については、他のチームが正解している。

 そのうちの3問目、問題Cでは、複数の相互接続されたダクトを通じて液体を分配し、各ダクトに接続された貯水槽をできるだけ早く満たすための解法を考案することが求められた。各ダクトは閉じることも、開けることも、部分的に開けることも可能であり、構成の可能性は無限に存在する。

 Geminiは最適な構成を探る過程で、意外なアプローチを取った。まず、各貯水槽に数値的な優先度を割り当て、他の貯水槽との相対的な重要度を判断した。その後、アルゴリズムとゲーム理論の概念である「ミニマックス定理」を用いて解法を導き出した。

 この一連のプロセスは30分以内に完了し、人間の参加者は誰も解くことができなかった。

 このような問題解決能力は、2016年にGoogle DeepMindが開発したAIモデル「AlphaGo」が囲碁の世界チャンピオン、李世ドル氏との対局で見せた「37手目(Move 37)」をほうふつとさせる。あの一手は当時の人間の専門家を驚かせたが、結果的には勝利を決定づけるものとなった。それ以来、「Move 37」は、AIが創造的または予想外の方法で行動し、人間の知的問題解決の常識に挑戦する瞬間を象徴する言葉となっている。

 Googleによれば、Geminiが2025年のICPCで示したトップレベルのパフォーマンスは、ソフトウェア開発の枠を超えた広範な意味を持つという。

 「ICPCで求められるスキル、つまり複雑な問題の理解、複数ステップにわたる論理的な計画の立案、それを完璧に実行する能力は、新薬の設計やマイクロチップの開発など、多くの科学・工学分野で必要とされるスキルと同じである」とGoogleはブログ投稿で述べており、AIが人類の利益のために困難な問題を解決する手助けとなる可能性を示している。

 AIが科学的発見を支援するという考えは、長年にわたり多くのコンピューター科学者の夢だった。9月には、OpenAIがこの目標に向けた社内イニシアチブを立ち上げている。また、ハーバード医科大学は、変性疾患やがん治療のターゲットを特定するためのAIモデルを設計した。

 Googleによれば、今後の最善の道は、人間とAIの協働によるものであり、Gemini 2.5 Deep Thinkのような高度なエージェント型モデルが、特に困難な技術的課題に対して新しい解法を提案する形になるだろうとしている。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。