Microsoftは2026年6月3日、Visual Studio Code(VS Code)1.123をリリースした。今回の更新では、拡張機能の自動更新を新バージョン公開から通常2時間遅らせる変更が追加された。問題のあるリリースや侵害された可能性のあるリリースへすぐに更新されることを避けるための保護策になっている。チャットセッションをGitHubアカウントに同期する機能や、GitHub Copilotで利用する対応モデルの100万トークンコンテキストに関する更新も含まれる。
Microsoftのコーディングモデル「MAI-Code-1-Flash」もCopilot個人ユーザー向けに展開
MicrosoftはVS Code 1.123のリリース前日となる6月2日、日常的な開発作業を高速かつ効率よく支援する新しいコーディングモデル「MAI-Code-1-Flash」を発表した。現時点では、VS CodeのGitHub Copilot個人ユーザー向けに順次提供している。同モデルを利用できるようになると、GitHub Copilotのモデル選択で「Auto」を選んだ場合に作業がMAI-Code-1-Flashへ振り分けられることがあるほか、モデル選択から直接選べるようになるという。
MAI-Code-1-FlashはGitHub Copilotの実運用で使われるハーネスに合わせて訓練・設計されており、コードベースや周辺ツールと連携するエージェント型のコーディング作業に適したモデルとしている。単純な依頼では短く答え、詳しい分析や広範なコード変更が必要な作業では長めの応答を生成するように調整されているという。
Microsoftは、SWE-Bench Verified、SWE-Bench Pro、SWE-Bench Multilingual、Terminal Bench 2でClaude Haiku 4.5と比較した結果、4つの評価すべてでMAI-Code-1-Flashの成功率が上回ったとしている。また、GitHub Copilotのモデル別価格を示すGitHub Docsでは、MAI-Code-1-Flashの入力・出力トークン単価はいずれもClaude Haiku 4.5より低く設定されている。
チャットセッションを同期し、/chronicleで過去の作業を検索
バージョン1.123では、チャットセッションがGitHubアカウントに自動同期されるようになった。各セッションには会話、変更したファイル、リポジトリ情報、関連するプルリクエスト、Issue、コミットなどが含まれ、マシンやワークスペースをまたいで作業履歴を検索できる。
バージョン1.118で実験的に追加されたChronicleはローカルのSQLiteデータベースに履歴を記録して検索・要約する機能だったが、Session Syncのドキュメントではローカルセッション追跡が同期の前提条件として示されている。
同期したセッションはGitHub.comのAgentsタブに表示され、Chronicleのドキュメントでは、セッション同期が有効な状態で、Copilot CLI、coding agent、code review、VS Codeでのセッションを横断して問い合わせられるとしている。過去のセッションについて自然言語で質問したり、トピック、ファイル、プルリクエストを手がかりに作業履歴を検索したりできる。
セッション同期は、設定のchat.sessionSync.enabledで制御できる。この設定は組織レベルで管理されるため、変更するには管理者への連絡が必要になる。同期の状態はCopilotステータスダッシュボードで確認できる。
エージェントがローカルで実行するターミナルコマンドの扱いも変わった。設定のchat.agent.sandbox.retryWithAllowNetworkRequestsにより、許可ドメイン外へのアクセスが必要なコマンドは、ネットワーク制限のないサンドボックス内で自動的に再試行され、失敗時はサンドボックス外での実行へフォールバックする。
Agents Windowで複数セッションを並べて表示
プレビュー提供中のAgents Windowでは、複数のエージェントセッションを同時に開けるようになった。セッションを横に並べてもアクティブなセッションは1つだけで、Terminal、Files、Changesの各ビューはその状態を反映する。
Insiders版ではCopilot CLIでResearchエージェントをプレビュー
詳細な調査を行うResearchエージェントもプレビューとして追加された。コードベース、関連するGitHubリポジトリ、Webから情報を収集・統合し、出典付きのMarkdownレポートを生成する。Researchエージェントは読み取り専用アクセスで動作し、コードは変更しない。現時点では、VS Code InsidersのCopilot CLI(local)セッションで、チャット入力に/researchと調査トピックを入力して利用する。
GitHub Copilotで100万トークンコンテキストに対応
言語モデル関連では、GitHub Copilotで利用するAnthropicおよびOpenAIの対応モデルについて、100万トークンのコンテキストウィンドウがサポートされた。VS Codeのリリースノートでは、対応モデルの例としてClaude Opus 4.7とGPT-5.5が挙げられている。GitHub Changelogでは、100万トークンのコンテキストウィンドウと推論レベルの設定が、VS Code、Copilot CLI、GitHub Copilotアプリで利用できるとしている。
これによって大規模なコードベースや長い会話を扱う際に、重要な文脈を失わずに作業しやすくなる。ただし、1回のやり取りで消費するトークンが増える可能性があり、使用量ベースの課金ではAIクレジットの利用量が増える点に注意が必要になる。
統合ブラウザでお気に入り登録とスクリーンショット添付を拡充
統合ブラウザでは、アドレスバーの機能が拡張され、URLの入力だけでなく、ページのお気に入り登録にも使えるようになった。スターアイコンでページをお気に入りに追加でき、アドレスバーからお気に入り一覧と開いているタブを確認できる。
チャットへブラウザのスクリーンショットを添付する機能も広がった。現在のビューポートに加え、選択した矩形領域を添付するAdd Area Screenshot to Chat、ビューポート外を含むWebページ全体を添付するAdd Full Page Screenshot to Chat (Experimental)が追加された。フルページスクリーンショットは実験的機能で、利用には設定のworkbench.browser.experimentalUserTools.enabledを有効にする必要がある。
拡張機能の自動更新に2時間の遅延を導入
拡張機能の自動更新では、2時間の遅延が導入された。自動更新が有効な場合、新しいバージョンの公開から2時間後に更新し、問題のあるリリースや侵害された可能性のあるリリースへすぐに更新されることを避ける保護策になっている。
待機中でも、拡張機能ビューの「Update」ボタンを使えば即時更新できる。更新待ちの間は、拡張機能の詳細ビューに理由と自動更新の予定時刻が表示される。
なお、この遅延は、Microsoft、GitHub、OpenAIといった信頼済みパブリッシャーの拡張機能には適用されない。