テクノロジー業界の基準で見ても突然だったAIへの転換によって、慌てているのは企業だけではない。米国の情報機関でさえ、その変化に追いつくのに苦労している。
これが、米政府がスーパーチップのための秘密裏の予算90億ドル(約1兆4400億円)を承認した理由だ。これにより、米中央情報局(CIA)や米国家安全保障局(NSA)はAnthropicやOpenAIといった大手AI企業の取り組みに追いつけるようになる。
スーパーチップとは何か
最新のAIモデルを動かすには、膨大な計算能力が必要である。それだけでなく、最先端の現代のデータセンターに不可欠な大量の電力供給と特別な冷却システムも必要になる。これを実現するのが、NVIDIAの「Grace Blackwell」スーパーチップだ。名前は米国の数学者David Blackwell氏と、米国のコンピューター科学者で海軍の先駆者でもあったGrace Hopper氏に由来する。
「GB10」と呼ばれるこれらのスーパーチップは、MediaTek製20コアArm CPUと、「Blackwell」アーキテクチャーをベースにしたNVIDIA製GPUを搭載している。このチップに128GBのLPDDR5xメモリーを加える。さらに、NVMe M.2 SSDの4TBのストレージを組み合わせると、消費電力わずか140Wで、最大1ペタフロップのAI演算性能を実現するチップができあがる。これは単体の話だ。
最新のゲーミングPCの多くが最大1000Wの電力を消費し得ることを考えると、これは大きな数字ではない。

「Blackwell」アーキテクチャーのスケーリングの仕組み(提供:NVIDIA)
この1つのチップに、700億のパラメーターを持つAIモデルを微調整する能力がある。ストレージだけを見ても、こうしたモデルには約140GBの容量が必要になる。
GB10システムが欲しいだろうか。Best Buyでは、ラック版が約5000ドルからの価格で販売されている。
だが、本当の電力消費は、これらを大規模に展開したときに発生する。「GB300 NVL72」は液冷式のラックに最大72基のGPUと36基のCPUを搭載する。これをデータセンター規模に拡張すれば、電力需要が爆発的に増える理由が見えてくる。
1つのラックの価格は180万~400万ドルになる場合がある。そして、1つのデータセンターには最大10万個のラックが設置されることもある。
だが、Anthropicの「Claude」や、OpenAIの「GPT-5.5」、DeepSeekの「V4」のようなAIモデルを大規模に動かしたいなら、それが必要になる。
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