OpenAI 、ChatGPT広告に「動的CTA」などの新フォーマットを導入 | DIGIDAY[日本版]

記事のポイント

OpenAIは、ChatGPT向け広告のインフラ整備に続き、会話文脈に応じて表示内容を変えられる新たな広告フォーマットのテストを開始し、EC向けショッピング広告や動的CTA機能の導入を進めている。

セルフサービス型の広告管理画面を開放したことで、中堅ブランドや代理店による利用が拡大し、クリエイティブや広告配信データが急増。これを基盤に、会話型AI広告に最適化されたパフォーマンス広告モデルの構築を急いでいる。

OpenAIは、CPA最適化やオーディエンスターゲティングなど広告機能を短期間で次々と追加しており、IPOを視野に入れながら、広告事業を大規模な収益源へ育てようとしている。

OpenAIは、ChatGPT向け広告のインフラ構築に数カ月を費やしてきた。そしていま、同社はそれらの広告が実際にどのように見えるかという、表現のデザインに着手している。

同プラットフォームが、EC企業向けにショッピング広告の一括作成を容易にした1週間後、今度は広告主に対して、ChatGPTの会話に合わせた広告をカスタマイズするためのさらなる選択肢を提供している。

Digidayが確認したモックアップによると、同プラットフォームは既存の標準ユニットを反復発展させた新しい広告フォーマットをテストしているという。これには、より大きな画像と、広告主がパーソナライズできるオプションのCTAボタンが含まれている。そしてこの動きは、OpenAI自身によってさらに裏付けられた。

同社は米国時間5月21日、広告主に宛てたメールのなかで、一部の広告のマイクロサブセットを対象に、新しい広告体験の「初期テストを開始している」と述べている。それらの広告には、「いますぐ購入」「いますぐ予約」「登録する」「詳細はこちら」といった動的なCTAが含まれている。

さらに、縦型または横型のいずれでも表示でき、価格や顧客レビューなどのショッピングデータを取り込める、EC専用のフォーマットも導入される。縦型バージョンは積み重ねて表示できるように設計されており、3つまたは4つの広告を横に並べて配置できる可能性がある。これにより、カルーセルスタイルの配置への道が開かれることになる。

限定されたフォーマットからの脱却と、ダイレクトレスポンス要素の追加

これまで、広告主が利用できるのは、見出し、短い説明文、画像、リンクという、単一のシンプルなフォーマットのみであった。今回の新しいフォーマットは、そのデザインに対するマイナーアップデートではあるものの、マーケターに対してブランドがどのように表示されるかをよりコントロールできるようにし、広告ユニット自体のなかに初めてダイレクトレスポンスの要素をもたらすものとなる。

しかし、変化はそれだけにとどまらない。実際の広告に対するさらに大きな変更が控えている。OpenAIの広告担当幹部らは、公私にわたりマーケターに対してそのことを明確にしている。

「クリエイティブのバリエーションこそが、成功に向けた真のカギとなってきた」。OpenAIのマネタイズ担当バイスプレジデントであるベンジ・ショメア氏は、最近開催された報道陣向けのラウンドテーブルでこのように語った。

同氏のコメントは、未熟な段階にあるChatGPT広告をめぐって行われている、より深い議論のいくつかを反映している。主な論点は、ChatGPTが、ユーザーの高い意図を伴う会話型の環境であるということだ。ランニングシューズのリサーチと休暇の旅行の計画とでは、クエリの文脈によって広告が果たすべき役割がかたちづくられる。

そのため、クリエイティブのパフォーマンスはニュースフィードや検索ボックスにおけるものよりも変動しやすく、その実行の精度に対してより敏感になる。現在、プラットフォームを流れる十分なライブデータが得られたことで、OpenAIはそれに基いて行動を起こすために必要な、広範なシグナルを蓄積しつつあるようだ。

セルフサービス型管理画面の導入がもたらす、膨大なデータの蓄積

これが実務において何を意味するのだろうか。

セルフサービス型の広告管理画面が登場したことで、広告主はキャンペーンを配信するためにOpenAIと直接的な営業関係を結ぶ必要がなくなった。これにより、中堅企業のブランド、パフォーマンス志向の店舗、そしてまだ多額の予算を投じる準備ができていないクライアントに代わってテストを行う代理店など、ロングテールの広告主にプラットフォームが開放されることになる。

その結果、システムを流れるクリエイティブや広告費のデータ量が劇的に増加する。これらのデータは、ショメア氏がその通話で説明したすべての事柄、すなわち、どの文脈で、何の目的のために、どのフォーマットが機能するかを知るための生材料となる。

たとえば、アドセナ(Adthena)のCMOであるアシュリー・フレッチャー氏は、事例として、彼のチームでは広告管理画面を通じて参加を希望する米国の担当者が増えているが、まだアカウントを立ち上げてライブにすることができていないと語った。「アドセナにとっても同様だ。私はまだアカウントの承認を待っている状態であり、画面には『情報を確認しています。登録数が非常に多いため、確認に時間がかかる場合があります』というメッセージが表示されている」。

急速なイテレーションがもたらす、パフォーマンス向上のロードマップ

OpenAIの現在のロードマップにおいて、手続きが迅速化される前には、さらに時間がかかる可能性がある。既存の顧客をリターゲティングしたり、完全に除外したりすることを広告主に可能にするオーディエンスターゲティング(類似オーディエンスがこれに続くとみられる)は、限定的な展開にとどまっている。

インプレッションやクリックではなく、CPAを基準に広告主がターゲットを設定できるようにすることで、本格的なパフォーマンス広告費を解放する機能である「成果ベースの最適化」は、開発中であるものの公開されたタイムラインはない。すでに発表されているものを超える新しい広告フォーマットも策定中である。よりきめ細かい配信ステータスの可視化や、キャンペーンの開始・終了データの制御機能も導入される予定だ。

これらすべては、コンバージョントラッキング、役割ベースのアカウントアクセス、広告レベルでの支出レポート、日予算の制御、そしてセルフサービス型の管理画面自体など、短期間ですでに追加された機能の上に積み重ねられる。どのような基準で見ても、その反復開発のペースは積極的である。広告主にとって、それは広告サービスがリアルタイムで構築されていく様子を見守っているかのようだ。そして、需要が明らかに存在している一方で、より高度な機能が組み込まれるまでは、より大きな予算が具体化する可能性は低いだろう。

現在、直接的、およびOpenAIのパートナー経由の両方で広告主を参加させているある幹部は、実現を望むふたつの大きなウィッシュリストがあると語った。それは、スケールと、製品の販売や顧客獲得といったビジネスの成果に向けて最適化する機能である。

「ビジネスの目的こそが、実際にビジネスの成果をリードするものとなる」と彼らは語った。「彼らは[まだ]広告主に対して、ROASや顧客獲得単価、効率性の金額を具体的にターゲットに設定する機能を提供していない。[まだパイロット版に参加していない]多くのほかのクライアントから、ChatGPT広告を掲載したいが、ビジネスの成果をターゲットに設定できるようになるまで待つつもりだ、という声を耳にしている」。

これらすべては、同プラットフォームのより大きな目標を支えるために、広告ビジネスからできるだけ早く、もっとも多くの収益を上げたいというOpenAIの緊急性をさらに裏付けるものとなっている。ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)によると、このAI企業はIPOの目論見書を秘密裏に提出する予定であると報じられており、早ければ9月にも株式を公開する見とおしだ。

OpenAIは、Digidayの取材要請に対し、コメントを返さなかった。

[原文:OpenAI gives ChatGPT ads a visual upgrade]

Krystal Scanlon(翻訳・編集:杉本結美)