ChatGPTに1年後の「マネージャーの1日」をシミュレーションさせてみた…効率的だが不気味だった | Business Insider Japan

Man sits in an empty officeコインベースでのマネジメントの日常は、1年後の2027年にどんな姿になっているのか。AIにその可能性を探らせてみた。ModernewWorld/Getty Images大手暗号資産取引所のコインベースは全従業員の14%を削減し、より無駄のない、機動的な組織に転換することを目指している。ブライアン・アームストロングCEOは、「純粋なマネージャー」をなくし、AIを活用したい考えだ。そこで我々は、未来のコインベースのマネージャーが送る1日を、AIにシミュレーションさせてみた。

コインベース(Coinbase)は、伝統的な管理職(マネージャー)という役割を根本から変えようとしている。

5月5日に発表された社内メモで、ブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)CEOは、抜本的な組織改革案を打ち出した。従業員の14%を削減し、「純粋なマネージャー(実務を持たず管理業務だけを行う職位)」をなくしたうえで、「1人チーム」を導入するというものだ。これにより、マネージャーは15人以上の直属の部下を統括するだけでなく、多数のAIエージェント群も指揮することになる。

さようなら、「マネージャー」。こんにちは、「プレイヤーコーチ」と「組織リード」 | Business Insider Japan

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私はアームストロングCEOのこのメモをChatGPTに読み込ませ、そこに書かれていたコインベースの「新たなマネージャー」がどんな1日を過ごすことになるのかをシミュレーションするよう指示した。そして、彼が描く未来の姿を垣間見た。面白いが、同時に不気味でもあった。

ChatGPTが導き出したシミュレーション結果を見ていこう。

午前8時41分

パソコンにログインした。メールは1通も届いていない。

ダッシュボードが自動的に開く。そこには15個のタイルが並んでいる。各タイルは私の「直属の部下」だ。人間は1人もいない。

彼らはすでに働き始めていた。

夜のうちに、決済担当のAIエージェントが東南アジアでステーブルコイン(米ドルなどの法定通貨と連動するように設計された暗号資産)の決済失敗の数が急増していることを検知していた。コンプライアンス担当のエージェントは3つの対応案を起草済みだった。プロダクト担当エージェントはこの問題に対処するため、アプリのUIを微修正してリリースを完了。すでにユーザーの5%に適用されていた。

私はサマリーにざっと目を通す。それぞれ長くても1段落程度だ。会議もなければ、Slackのスレッドも、煩わしいやり取りもない。

2つの決定を承認し、1つを却下する。3つ目についてはシミュレーションするよう指示した。

所要時間:計4分。

午前9時10分

2024年であれば、これには決済、プロダクト、コンプライアンスの各部門を巻き込む必要があり、おそらく会議も必要だっただろう。

いまとなっては、それらのチームに誰がいるのかさえ知らない。そもそも「チーム」として存在しているのかすら定かではない。

すべてはシステムが自動的に振り分けてくれるからだ。

かつて私たちが文句を言っていた、チーム間の意見のすり合わせ、つまり「調整コスト」のようなものはもうない。ほかのチームから返信を待つ必要もなければ、予定をパズルのように組み合わせる「カレンダーのテトリス」もない。

しかし、別の類いの摩擦はある。目の前の情報をどこまで信頼するか、という判断だ。

各エージェントは、信頼度、情報源、代替の選択肢を提示してくる。スピードは速い。だが、同時に不透明でもある。私は予想以上に、自分の判断を疑うことに時間を費やしている。

午前10時30分

私がまだ担当している数少ない人間の報告書の1つを確認する。

彼女の肩書きは、いちおうデザイナーということになっている。だが、プロダクトマネージャーでもあり、本番環境で動くコードも書く。

彼女のチームは……彼女1人だけだ。

彼女は3つのAIエージェントと組んで、トークン化資産(現実の資産をブロックチェーン上にデジタル化したもの)用の新機能の試作品を作っていた。彼女は12分でその内容を説明してくれた。スライドはない。すでに完成しているのだ。

以前のコインベースなら、これは1四半期かけて取り組んでいた案件だっただろう。

私は彼女に何が必要かを尋ねる。

「特に何も」と彼女は答える。

「強いて言えば、本格展開するための承認くらいでしょうか」

午後0時15分

ランチの光景は変わらない。だが、会話の中身は変わった。

私たちはもう、プロジェクトの話はあまりしない。話題はプロンプトについてだ。どのエージェントが信頼できるか、プレッシャーを与えるとハルシネーション(幻覚:AIがもっともらしい嘘を出力する現象)を起こすのはどれか、どれが手を抜くか——といったようなことだ。

「人間を管理するほうが楽だったよ」と、誰かが冗談を飛ばす。

誰もそれに反論しない。

午後2時

ダッシュボードにリスクアラートが飛び込んでくる。優先度は「高」だ。

コンプライアンス担当エージェントは、新たな「予測市場(将来の出来事の結果に賭ける市場)」に紐づく一連の取引を凍結するよう推奨している。一方、グロース担当エージェントはそれを誤検知だと主張し、ユーザーの反発を招くと警告する。法務担当エージェントは、3つの国・地域におけるリスク・シナリオの概要を提示してきた。

彼らはすでに互いに議論を交わしている。私はその記録を読んでいるだけ。

決断を下すのは私だ。

会議も、合意形成のプロセスもなく、上司からそのまた上司へと段階的に承認をとっていくプロセスもない。ただ私がいるだけだ。

私の決定は、数秒で本番環境に反映される。

午後4時45分

私は自分の「チーム業績」をレビューする。

各エージェントは、アウトプット、正確性、スピード、コスト効率の4項目でスコアリングされている。

そして私自身も、同じようにスコアをつけられている。

私の評価は、エージェント間でいかに上手に業務を配分したか、どんなタイミングで彼らの判断を覆したか、そしてどのくらいの頻度で間違えたかによって決まる。

私はふと気がついた。今日一日、人間に対して一度もフィードバックしていないことに。

午後6時10分

ログオフする前に、こんなプロンプトが表示された。

「組織最適化のための推奨事項:決済ワークフローにおける人間の監督者を12%削減します」

私はボタンの上にカーソルを置く。

「承認」。

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