最新版 – Microsoft 365サイト活用入門(135) Outlookで実感する業務AI ― M365 Copilotで変わるメール処理

前回は、有料版のMicrosoft 365 Copilot(以下、M365 Copilot)の導入手順を紹介しました。今回からはいよいよ、実際の業務の中でM365 Copilotをどのように使うのかを具体的に見ていきます。

まずは、最も日常的に使用頻度の高いOutlookのメール処理を例に取り上げます。

「メール処理」はどこまで効率化できるのか

ビジネスユーザーにとって、次のような状況は珍しくありません。

・朝一番で大量の未読メールを処理する
・複数人が関わる長いメールスレッドを読む
・要点を整理して返信を書く

こうした作業は単純作業に見えて、意外に時間と集中力を消費します。
M365のライセンスがあれば追加のM365 Copilotライセンスを購入しなくても使えるM365 標準のCopilot Chatでも「開いているメール」の要約は可能でしたが、M365 Copilotではこれに加えて、過去のメールや関連情報を踏まえた理解が可能になります。

※Copilot ChatとM365 Copilotの違いについては当連載の第133回を参照してください。

OutlookでのM365 Copilotの起動

Outlook(Web版またはデスクトップ版)を開くと、ツールバーにCopilotのボタンが表示されます。
ここでは例として、新サービスの提供を検討する企画案をメールでプロジェクトメンバーに配信し、意見を募っているというケースを想定しています。

(1)企画案のメールを配信し、返信を集めている
(2)とりあえずメールを簡単に要約したいときの「Copilotによる要約」ボタン
(3)本格的にOutlookでM365 Copilotを使うときのM365 Copilotボタン

(4)M365 Copilotボタンをクリックすると表示/非表示されM365 Copilotペイン。プロンプトを入力できる

なお、(2)の「Copilotによる要約」ボタンをクリックすると、以下のようにメールを簡単に要約して表示します。

(5) 「Copilotによる要約」ボタンで簡単要約。

次にM365 Copilotペインを使ってより本格的に使う例を紹介します。
このCopilotは、単なるチャットではなく、Outlookのメールデータと連携したAIとして動作します。

使用例その1:メールスレッドの要点整理

複数人でやり取りされている長いメールを開きます。

(1)よく使うプロンプトの例が表示されるので、クリックするとそのプロンプトが(2)のテキストボックスに入力される
(2)プロンプトを入力するテキストボックス
(3)プロンプトの送信(実行)ボタン

このメールを含むスレッド全体を要約することを明確にするときは、M365 Copilotペインで「このスレッドを要約」と明示した方がいいでしょう。

(4)M365 Copilotの回答。先に紹介した「Copilotによる要約」ボタンに比べると、かなり詳細に要約し、読みやすいように書式も工夫している
(5)スレッドに含まれるどのメールの内容から要約・引用しているのか、情報源のメールをメールアイコンで明示している

M365 Copilotは、自動的にどの部署のメンバーからあげられた意見なのかを集約し、次のような形で整理します。

①議論のポイント
②現在の結論
③未解決の課題

単に文章を短くするのではなく、「業務上の意味」を抽出している点が特徴です。
さらにスクロールしてM365 Copilotの回答を末尾まで見てみます。

(6)次のアクション(何をすべきか)を提案してくれている
(7)次にM365 Copilotに指示すべきプロンプトの例を提案してくれている

この先のことまで提案してくれているのも大きな特長です。

使用例その2:返信メールの下書き作成

続いて、要約結果を踏まえて返信を作成します。
Copilotペインで「この内容に基づいて返信を作成」といったプロンプトを入力します。

(1) プロンプトを入力する
(2) プロンプトを実行する

返信メールの原稿を自動生成します。
生成される文章は、ビジネス文書として自然な形になっており、ゼロから書くよりも大幅に時間短縮が可能です。

(3)M365 Copilotが生成した返信メールの原稿

M365 Copilotの回答をまた下までスクロールして見ます。

(4)メール原稿を修正するパターンを提案している
(5)コピーボタンをクリックしてメール原稿をクリップボードにコピーし、新規作成メールやWord文書などに貼り付けて利用できる
(6)次のアクションの提案。クリックするとそのままプロンプトとして実行できる

使用例その3:大量の複数のメールの分析

M365 Copilotの最大の特徴は、M 自分がアクセス権を持つMicrosoft 365内のデータ(メール、ファイル、会議など)を横断的に扱えることです。

Outlookであれば、1つの受信メールに対する操作(要約、返信メール作成など)だけでなく、これまでの受信した大量のメールを対象にさまざまな分析ができます。

ここでは、過去1年に受信したメールからAIのトレンドを分析する例を紹介します。

以下のプロンプトを入力します。

「過去1年に受信したメールの中から、AIに関する情報を確認して、過去1年、そしてこれから1年のAIのトレンドの概要をまとめてください。」

(1)M365 Copilotペインにプロンプトを入力する
(2)プロンプトを実行する

(3)M365 Copilotがどのように分析したか説明している
(4)M365 Copilotの回答

過去1年間のメールを対象にして総合的に分析しているのが特徴です。しかも、インターネット上から集計したのではなく、自分が受信したメール(テナント内データ)を元に分析、レポートしています 。

M365 Copilotならではのポイント

ここが重要な違いです。

●Copilot Chat(M365ライセンスに附属のCopilot Chat)
 開いているメールのみを対象

●M365 Copilot(有料版)
 過去のやり取りや関連メールも考慮
 ユーザーのアクセス権内の情報を横断的に参照

つまり、「この案件、以前どうなっていたか」という“記憶”に近い形で情報を扱えるようになります。

メリット

実際に使って感じる主なメリットは次の通りです。

・メール処理時間の短縮
 長いスレッドでも短時間で要点把握が可能

・返信品質の安定
 文章の抜け漏れが減る

・過去文脈の活用
 人間が思い出す手間を省略できる

デメリット・注意点

一方で、いくつか注意点もあります。

・内容の最終確認は必須
 Copilotの出力はあくまで下書きです
 事実関係の確認は人間が行う必要があります

・曖昧な指示では精度が落ちる
 プロンプトが雑だと、意図と違う文章になることがあります

・情報量が少ない環境では効果が限定的
 過去データが少ない場合、効果は限定されます

これまでの当連載でも繰り返し述べていますが、AIは常に正しい答えを生成するわけではありません。必ず、生成した結果は自分で確認してください。体感的には、「9割の正確な情報と1割の不正確な情報が」が含まれるのが生成AIの現状です。

どんなユーザーに向いているか

特に効果が高いのは次のようなユーザーです。

・メールのやり取りが多い
・複数案件を並行して管理している
・判断や調整が多い職種

逆に、定型的なメールしか扱わない業務では、効果は限定的です。

まとめ

今回紹介したのは、あくまで基本的な使い方ですが、M365 Copilotの特徴である「業務全体を文脈として理解する」という考え方は、Outlookでも十分に体感できます。

単なる「文章生成AI」ではなく、“業務の補助記憶装置”としてのAIと捉えると、その価値が見えてきます。

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