ダリオ・アモデイ氏の率いるアンソロピックは、高給のライター職の採用を増やしている。Bloomberg/Getty Images
アンソロピックは優れたライターを求めており、それを裏付けるだけの資金力も持ち合わせている。
同社は現在、「エンタープライズ向けにアンソロピックの語り口を定義する」サポートを行うコピーリードを募集している。この職種では、長文コンテンツ、スクリプト、イベント、SNS投稿など、幅広い分野にわたるライティングスキルが求められる。
応募には10年の実務経験が必要で、給与は25万5000ドルから32万ドル(約4000万円〜5000万円)が見込まれている。
アンソロピックの採用予定リストに並ぶ高額報酬のライティング職は、これだけではない。同社は責任者となる「ヘッド・オブ・コピー・アンド・コンテンツ」も募集しており、その給与レンジは32万ドルから40万ドル(約5000万円〜6400万円)となっている。
AI企業各社は、技術的になりがちな自社製品を一般の人々にわかりやすく伝えることに心血を注いでいる。その意図は、今回のコピーライター求人の説明文にも明確に表れており、「複雑な製品機能や顧客が得られる成果を、明確で具体的、かつ読んで面白い言葉に翻訳する」ことが業務の核心とされている。
各社は、こうしたブランド関連の職種に対して高い報酬を支払うことを厭わない。Business Insiderは2月、「言葉を書く仕事」がテクノロジー業界で最も注目を集める職種のひとつになっていると報じた。
AIのミッションを巧みに伝えることは、企業買収にまでつながるケースもある。4月にはOpenAIがテック系トークショー「TBPN」を買収した。同番組のスタッフは、OpenAIのマーケティングおよびコミュニケーション業務を支援するために採用されている。
アンソロピックの求人のような例は、テクノロジー業界においてコピーライターに大きなチャンスが残されていることを示しているものの、同職種は以前からAIによる代替リスクが極めて高い分野として指摘されてきた。2023年には、あるコピーライターが自身の仕事がすでにChatGPTに奪われ始めているとBusiness Insiderに語っている。
AI分野の第一人者であるアンドレイ・カルパシー氏は、コピーライティングを自身の「仕事の露出度(影響度)」スケールで8〜9と評価した。これは「非常に高い影響(リスク)を受ける」ことを意味する。
こうしたAIの脅威にもかかわらず、米国労働統計局は2024年から2034年にかけてライティング関連の雇用が平均的なペースである4%の成長を遂げると予測している。
アンソロピックのプレジデントであるダニエラ・アモデイ氏は、ライティングのバックグラウンドを持っている。彼女は大学で文学を専攻したが、その選択を後悔していないと語っている。2月、彼女は人文学がこれからさらに価値を増すだろうと述べた。
「AIが非常にスマートになり、多くのことをこなせる世界においては、私たちを人間たらしめるものこそが、より一層重要になっていく」と彼女は語った。