アンソロピックのクリシュナ・ラオCFOは、AIによって何時間もかかっていたオフィス業務が数分で終わるようになり、社員の日々の仕事の内容そのものが変わりつつあると語っている。Bloomberg/Getty Imagesアンソロピックのクリシュナ・ラオCFOは、AIによって同社のホワイトカラーの働き方が大きく変わったと語っている。同社では人間は実務をこなすのではなく、AIの仕事を管理・監督する働き方へ変わってきており、高いレベルの人材が求められるようになっているという。アンソロピックのAI「Claude」は、現在、同社で使われるプログラムコードの90%を作成し、財務業務の大部分も担っているという。
アンソロピック(Anthropic)のCFO(最高財務責任者)、クリシュナ・ラオ(Krishna Rao)は、現在、同社では、ソフトウェア開発で使われるプログラムの大部分をAIが自動生成していると語った。その結果、ホワイトカラーの働き方そのものが変わり始めているという。
ラオは、2026年5月13日に配信されたパトリック・オショーネシー(Patrick O’Shaughnessy)がホストを務めるポッドキャスト「Invest Like the Best」に出演し、アンソロピックの社内では、AIがソフトウェア開発から財務報告などの知的労働における「実務作業」をますます担うようになってきていると語った。一方で、人間の役割は、監督や判断、戦略立案へと移りつつあるという。

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「そのおかげで、当社はむしろ多くの人材を採用している」とラオは話しており、Claudeについては、生産性を加速させる存在だと捉えているという。
「その結果、我々はより多くの仕事をこなせるようになっている。チームの規模がさらに拡大しても、社員たちは社内でClaudeに慣れることで、より高い成果を出せるようになっている。こうした変化は多くの企業でも同じように起き始めていると思う」
この発言は、シリコンバレーの有力AI企業が、AIによってホワイトカラーの仕事がどう変わると考えているのかを示している。AIは必ずしも人間の仕事を完全になくすわけではないものの、日々の業務の大部分を自動化し、社員はAIシステムを監督・管理する役割を担うようになるというのだ。
ラオによると、こうした変化はすでにアンソロピックの社内で起き始めているという。
「当社のコードの90%以上は、実際はClaude Codeによって書かれている」と、アンソロピックのAIコード生成ツールをラオは説明している。
ラオによると、同社の財務チームでも同じような変化が起きているという。現在アンソロピックでは、Claudeを使って財務諸表を作成しており、月次の財務レビューも、人間が確認や分析を行う段階に入る前の段階で、すでに90〜95%までAIが作り上げているという。
「以前は社内レポートの作成に何時間もかかっていたものが、今では30分ほどで完成してしまう」
こうした生産性の向上によって、アンソロピックの社員は情報収集に費やす時間を減らし、その情報をどう判断、活用するをより多くの時間を使えるようになったとラオは語っている。
「我々は以前から、『人数の多さよりも、人材の質の高さのほうが重要』とよく話していた。これはこのことにも当てはまると思う。私たちは、AI研究や推論エンジニアリングのトップレベルの人材がそろった組織を目指している。そうした人材が最高のAIモデルを使える環境こそ、大きな強みになると考えている」
AIが労働市場に与える影響
アンソロピックの従業員がAIをどのように活用しているかの詳細は、さまざまな業界の企業が職場へのAI導入を急いでいる中で明らかになった。AIの性能向上を受け、社員にAI活用を強く求める企業もあれば、AIによる効率化を理由に人員削減を進める企業も出てきている。
AIが業務の多くを担うようになったことで、「AIは最終的にホワイトカラーの仕事を奪うのか、それとも人間の生産性を高めるのか」という議論が、経済学者や企業経営者の間で広がっている。AIによる自動化によって、新たな仕事が生まれるよりも早いペースで雇用が失われる可能性があると警告する人もいる。一方で、生産性の向上によって、最終的には労働需要が拡大する可能性があると主張する人もいる。
ラオによると、AIを活用することで社員の生産性が高まれば、「やるべき仕事はいくらでもある」ために、むしろ企業は採用を増やすかもしれないという。
それでもラオの説明からは、ホワイトカラーの働き方そのものがすでに急速に変わり始めている様子がうかがえる。社員は自ら手を動かして作業するのではなく、AIのシステムを監督する役割を担う場面が増えていると彼は説明している。彼によると、複数のプロジェクトを同時に進める「AIエージェント群」もチームでは活用されているという。
「だれもが、ある種の管理職のような役割になっていく」とラオは言う。
「そこから生まれる変化や生産性向上については、まだ始まったばかりの段階だ。しかし、その可能性は驚くほど大きい」

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