2度目の妊娠も脳を作り変えると判明、1度目とはどう違うのか | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト

妊娠は体だけでなく脳も変える。新たな研究によれば、1度目の妊娠と2度目の妊娠では再構築される脳のネットワークに違いが見られるという。(DOMINIK ASBACH, LAIF/REDUX)

妊娠は体だけでなく脳も変える。新たな研究によれば、1度目の妊娠と2度目の妊娠では再構築される脳のネットワークに違いが見られるという。(DOMINIK ASBACH, LAIF/REDUX)

[画像のクリックで拡大表示]

 産後の女性たちが、頭が「ぼんやりする」という経験を語るとき、その話は互いに驚くほど似通っている。何のために部屋に入ったのかを忘れたり、話の途中で言葉が出なくなったりといった具合だ。

 そうした症状は長い間、睡眠不足やストレスのせいだと片付けられてきたが、ほんとうの理由はそれだけではないかもしれない。

 最近の研究が示唆しているのは、脳は妊娠によって単に負担にさらされているだけではなく、作り変えられているということだ。

 しかも、オランダ、アムステルダム大学医療センターが発表した新たな研究によると、脳の変化が起こるのは1度目の妊娠に限った話ではないという。2度目の妊娠では、脳は戦略をより洗練させ、新たな神経システムへと移行しているようだ。

 研究者らは現在、妊娠中の脳にどのような変化が起こり、それらがどんな意味をもつのかを解明しつつある。(参考記事:「胃や頭の不調も実は子宮内膜症? 誤解の多い症状と適切な対処とは」)

他者への感度を変える変化

 特に詳しく記録されている変化の一つは、脳が他者をどのように理解し、どう反応するかに関わるものだ。

 2016年12月に発表された論文で、研究者らは、女性たちの脳を1度目の妊娠の前後にスキャンし、それを妊娠経験のない女性たちと比較した。その結果、妊娠した参加者の女性は皆、脳の表層にある「灰白質(かいはくしつ)」の体積が正確かつ左右対称のパターンで減っていることがわかった。

 これらはランダムに起こった変化ではない。灰白質が減った位置は、脳の「心の理論」ネットワークに関わる領域と密接に対応していた。(参考記事:「アルツハイマー病の兆候か、診断10年前にも現れる意外な変化5選」)

次ページ:「物忘れ」と引き換えに得る能力とは

ここから先は、「ナショナル ジオグラフィック日本版」の
定期購読者*のみ、ご利用いただけます。

*定期購読者:年間購読、電子版月ぎめ、
 日経読者割引サービスをご利用中の方になります。

おすすめ関連書籍

2024年1月号

旅するチョウを守る/変わる妊娠と出産/二つの世界を生きる/生き物たちの繊細な関係/誰もいない島の宝物

カナダ南部からメキシコまで壮大な渡りをするオオカバマダラ。気候変動と生息地喪失で数が減少していますが、新たな保護活動が進んでいます。このほか、変わる妊娠と出産、伝統的な暮らしを守るアマゾン先住部族、オランダの無人島などの特集をお届けします。

定価:1,280円(税込)

amazon
楽天ブックス

おすすめ関連書籍

脳の謎 誰も知らない隠された能力

謎の多い人間の脳について、最近の科学的進歩を解説した書。人間の脳に関する「100の謎」を、学習、知能、意識、情動、加齢の5つのテーマに分類して、豊富な写真・イラストとわかりやすい文章で説明しています。
〔電子版あり〕

定価:1,540円(税込)