マイクロソフトは5月15日、『Forza Horizon 6』のプレミアムエディション購入者向けに先行アクセスを開始した。これと同時に、同社が開発するシェーダー配信技術「Advanced Shader Delivery」のプレビュー版をAMD製GPUを搭載するPC向けにも拡張。同技術を利用することで、『Forza Horizon 6』のシェーダーコンパイル時間がわずか4秒へと短縮されるという。
ゲームをプレイする際、映像を描画するための「シェーダー」をコンパイルする必要があるが、これをプレイ中にその都度おこなってしまうとパフォーマンスの低下が生じる恐れがある。そのため、特にPCゲームではゲームの初回起動時にまとめてシェーダーをコンパイルするような設計となっている作品も多い。ただし、シェーダコンパイルには数分の時間を要することもあるほか、ドライバーやゲーム本体のアップデートをきっかけに再コンパイルが必要となることもある。ゲームを起動して早々に長いロードが挟まることに対して、煩わしさを感じてきたプレイヤーもいるはずだ。

こうした問題を解決するために、マイクロソフトのDirectXチームが開発したのが「Advanced Shader Delivery」だ。各ゲームタイトルから収集したシェーダーや、主要ハードウェアメーカーとの連携によって得られたシェーダーコンパイラを統合することにより、コンパイル済みのシェーダーデータベース(PSDB)を作成。プレイヤーはこのPSDBを、ゲームをストアからダウンロードする際に一緒に取得し、初回起動時からすぐにプレイを始められるという仕組みとなっている(関連記事)。
昨年8月に発表され、10月には携帯型ゲーミングPCである「ROG Xbox Ally」シリーズに対応するかたちでリリース。対応タイトルとしては、『The Outer Worlds 2』や『Gears of War: Reloaded』をはじめ数十タイトルが対応済みであった。そんな同技術がこのたびPCに拡張され、さっそく同日に先行アクセスが始まった『Forza Horizon 6』も新たに対象タイトルとなっているようだ。
Image Credit: Microsoft on Web
マイクロソフトによれば、『Forza Horizon 6』では従来の方法で1分間近くかかっていたシェーダーコンパイル時間がわずか4秒で済むといい、実に95%もの短縮が実現されるとのこと。またプレイ中のカクつきなども軽減されるという。なおマイクロソフトが用いた検証機は、GPUに「AMD Radeon RX 7600」を、CPUに「AMD Ryzen 7 5800」が利用されており、数年前のミドルクラス構成といったところ。ハイスペックのPCがなくともこうした起動の高速化が叶うというのは魅力といえそうだ。
本機能は現時点ではプレビュー版となっている。利用するためには、Xbox Insider Hubアプリから「PC Gaming Preview」を選択してXbox Insiderプログラムに参加する必要がある。また、GPUの動作条件はRDNA 3世代以上となっている。マイクロソフトはベンダー各社との連携によって今後PCエコシステム全体に対応機種を拡大する方針を見せているが、現状ではAMD製グラフィックカードでのみ利用可能という状況だ。

とはいえ、NVIDIAでは独自の自動シェーダーコンパイル技術「Auto Shader Compilation」を発表しており、今年3月からNVIDIA アプリにてベータ版としての提供が始まっている(関連記事)。そのほかSteamクライアントでは2017年頃から、コンパイル済みのシェーダーを共有する「Shader Pre-Caching」という仕組みを採用。各社がゲーム開始前のロード時間を減らす方法を追求しており、ダウンロードが完了してすぐにゲームを遊べるようになるのが当たり前となる日も近いかもしれない。