
1989年にNASAが公開したレポートでは、室内空気質の悪化を防ぐために観葉植物を配置することが推奨されました。しかし、この研究は密閉された環境で観葉植物の有効性を示したもので、家のリビングなど実際の室内ではほとんど意味がないことを専門家が指摘しています。
Can houseplants really purify the air in your home? What the science actually says
https://theconversation.com/can-houseplants-really-purify-the-air-in-your-home-what-the-science-actually-says-279690
観葉植物の空気清浄効果が広まったきっかけは1989年にNASAが行った研究にあると言われています。宇宙ステーションの閉鎖型生命維持システムの研究の一環として実施された研究では、密閉された小さな実験空間の中で植物を育てると、ホルムアルデヒドやベンゼンなどの塗料や家具、洗剤などから放出される揮発性有機化合物(VOC)が減少することが確認されました。
NASAの研究は「植物が空気中の化学物質を吸収する」という現象が存在することを示したものですが、「VOCが10~70%減少した」という調査結果は密閉された空間内の数値であり、現実的なものではないと指摘されています。ドレクセル大学の研究者であるBryan Cummings氏とMichael Waring氏が2019年に実施した調査では、1立方メートルあたりの空気から植物が1時間に除去できる汚染物質量は高くても1%未満であり、観葉植物でVOCを除去しようとすると、単純計算で1平方メートルあたり10~1000個もの植物を詰め込む必要があるということが示されました。
観葉植物で室内の汚染物質を除去するにはどの程度の数を置けばいいのか? – GIGAZINE

リムリック大学生物科学分野博士のPedram Vousoughi氏は、NASAの研究に欠けていた変数として「換気率」という用語を挙げています。換気率とは建築家学者が使う用語で、隙間や壁、換気システムを通して外気が自然に室内の空気と入れ替わる速さを示します。観葉植物は一部の汚染物質を除去することはできますが、一般的な室内環境ではその速度よりも換気率の方が圧倒的に速くなるため、NASAの研究結果は現実的に適用できないとVousoughi氏は述べています。

また、実際の室内環境が静的でないこともNASAの研究に不足している点だとVousoughi氏は指摘しています。多くの実験室実験では、汚染物質は一度放出された後、密閉された空間で自然に減少していきます。一方で、家庭では調理や掃除、家具の使用、空調のオンオフや窓の開け閉め、外から漂ってくる交通汚染など、汚染物質の排出は1日を通して変化します。これら全ての要因が汚染物質の排出、希釈、沈着に影響を与えるため、実際の暴露条件は多くの植物研究が行われるような制御された条件下よりもはるかに複雑になります。
そのためVousoughi氏は、室内の汚染物質を減らすためのより信頼できる方法として3点を挙げています。まず、強力な化学洗剤など煙を放出する製品の使用を避け、カビの発生を促す湿気や漏水などの建物内の欠陥に注意すること。次に、換気を改善して外気の供給量を増やすことも非常に効果的です。そのほか、高効率粒子状空気(HEPA)フィルターを搭載した空気清浄機を使用することも、空気中の微粒子を減らすのに役立ちます。
また、室内空気の浄化効果はあまり期待できなくても、観葉植物は精神的な幸福感を上昇させメンタルヘルスを改善させる効果があると複数の研究で示されています。ただし、観葉植物自体が室内の湿気問題や微生物の繁殖につながる可能性があるため、慎重に管理する必要があるとVousoughi氏は語りました。
メンタルヘルスを改善させるにはどんな観葉植物を選ぶべきなのか? – GIGAZINE

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