株価高騰のAI業界が、本当に「稼げる」日は来るのか? | WIRED.jp

Altimeter Capitalのベンチャーキャピタリストであり、スタンフォード大学でAI経済学の講義を行なっているアプールヴ・アグラワルは、最近同大学で行なった講義で次のように語った。

アルファベットはChromeブラウザ、Android OS、YouTubeの動画共有サービスを通じて世界中で約40億人にリーチしており、主に広告を通じてユーザーひとりあたり年間約100ドルの収益を上げている。

アグラワルの推定では、メタはFacebook、Instagram、Messenger、WhatsAppを通じて約35億人にリーチし、ユーザーひとりあたり年間約70ドルを稼いでいる。

OpenAIは最近、週間のアクティブユーザー数が9億人を超えたと発表したが、アグラワルの計算によれば、ChatGPTがユーザーひとりあたりから生み出す収益は年間わずか10ドル程度だという。

メールでの取材に答えてアグラワルは自身について、まさしくAIの未来に対する楽観主義者だと考えていると語った。彼はこのテクノロジーの利用者について、学生たちにこう語っている。

「問題は、どうやって10億人を40億人に増やすかです。知識労働がその答えかどうか確信はもてません」。さらに彼はこう続けた。「第二の問いは、ユーザーひとりあたりの年間収益を10ドルから100ドルに引き上げるにはどうするかです。これについても、サブスクリプションだけが答えなのかどうかはわかりません」

ChatGPTユーザーの大多数は無料版を利用している。アグラワルは、広告がいずれOpenAIやそのライバルたちに大きな収益源をもたらし、AIの経済モデルを「解錠」する助けになるかもしれないと示唆した。

AI企業はユーザーに関する膨大な情報を収集しているため、効果的なターゲティング広告が可能になるはずだ。

アルファベットはすでにGoogle検索にAIを組み込んでいる。26年4月末に行なった最新の四半期決算発表で、CEOのスンダー・ピチャイは、この部門の収益が19%増加し、検索クエリが過去最高を記録し、「AI体験が利用を促進している」と述べた。

AIゴールドラッシュはバブルなのか?

もうひとつの大きな問いは、長期的に見てAI業界の競争がどれほど激化するかだ。規模が大きいからといって、富が保証されるわけではない。小売セクターは巨大な産業だが、競争は激しく、利益率は低い。食品や旅行と同様だ。

従来のテック業界は、莫大な利益を生み出すごく少数の巨大企業によって支配されてきた。収穫逓増とネットワーク効果が、AIを同じ方向に向かわせる可能性は大いにある。

もしグーグルが消費者向けAIを支配し、Anthropicがビジネス向けAIを支配することになれば、この業界は検索やソーシャルメディアのように、独占または寡占状態に陥ったほかのデジタル市場のようになるだろう。そうなれば、OpenAIやメタ、そしてそれらが構築しているすべてのインフラには何が残されるのだろうか。

現在のところ、競争には事欠かない。Anthropicがビジネスユーザーの獲得に成功したことを受け、OpenAIはコーディングツール「Codex」などの業務ツールの強化に乗り出している。26年4月、同社の最高収益責任者(CRO)であるデニス・ドレッサーは、900万人の有料ビジネスユーザーを抱え、企業からの収益が全体の40%以上を占めていると述べた。

メタやxAIをはじめとする企業も自社モデルへの投資を惜しまない。また、ニッチな領域を狙う無数のAIスタートアップが存在し、OpenAIの「GPT-OSS」や「DeepSeek-R1」のような安価なオープンソース・モデルも登場している。これらの次世代版が、特定のビジネス領域や地域で勢力を拡大する可能性もある。

要するに、長期的に見た結果はまったく見通しが立っていないのだ。AI主導の株式市場が成層圏を突き抜けるような勢いを見せているいま、過去の教訓を振り返る価値はあるかもしれない。