第61回ヴェネチア・ビエンナーレのプレビュー開始直前、同ビエンナーレの「金獅子賞」受賞者などを決める審査員会が4月30日付で総辞任した。この件に関して複数のメディアが伝えたところによると、イスラエル代表アーティストのベル=シミオン・ファイナルが、審査員の電撃辞任に先立ってビエンナーレ主催者に圧力をかけていたという。
審査員会5人の辞任発表時、理由については明記されていなかった。しかし、4月23日に公表された声明では、国際刑事裁判所から人道に対する罪で告発された指導者を擁する国は審査対象から除外する意向が示されていた。これは、出展をめぐって厳しい批判を浴びているイスラエルとロシアを念頭に置いたものと考えられる。
5月初めにイタリアの通信社アドンクロノスは、審査員が揃って辞任するきっかけになったとされる経緯について2本の記事を掲載した。そのうちの1本は、ファイナルが「人種差別」と「反ユダヤ主義」を理由に欧州人権裁判所へ提訴すると圧力をかけたことに触れている。アドンクロノスによると、ビエンナーレ側はこれを受け、「紛争が生じた場合、審査員は個人として損害賠償責任を負う可能性がある」と審査員会に伝えたという。
また、オンラインメディアのハイパーアレジックは5月6日、ファイナルが法的措置を示唆したことを確認したと報じた。ビエンナーレの広報担当者は同メディアに対し、報道内容は事実であると述べたものの、それ以上のコメントは控えたとされる。
アドンクロノスの記事は、審査員会の辞任時にニューヨーク・タイムズ紙が伝えた内容と合致するものだ。ニューヨーク・タイムズに対し、ファイナルはこう語っている。
「彼らの決定は人種的な理由で私を差別するものです。私はアーティストであり、平等な権利を持っています。国籍や人種によって判断されるべきではありません。私の芸術の質とメッセージだけで判断されるべきです」(翻訳:石井佳子)
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