三菱UFJ、OpenAIに続きグーグルとも提携。AIエージェントの「二重提携」で何が変わる? | Business Insider Japan

7日の会見の様子写真左から三菱UFJフィナンシャル・グループ執行役専務リテール・デジタル事業本部長兼グループCDTOの山本忠司氏、グーグル・クラウド・ジャパン代表の三上智子氏。撮影:小林優多郎

三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)は5月7日、グーグルとの個人向け事業における戦略的提携を発表した。

MUFGが2025年6月から展開している金融サービス「エムット」を、検索や動画、地図などグーグルが提供するサービスや、「Gemini Enterprise」などの先進的なAI技術やクラウド技術と組み合わせる。

MUFGとグーグルの提携に関する発表は、MUFGがデジタルバンクへのGoogle Cloud基盤活用を発表した2025年5月の会見に続く2回目となる。

7日の会見に登壇したMUFG執行役専務でリテール・デジタル事業本部長兼グループCDTO(Chief Digital Transformation Officer)の山本忠司氏は、今回の新たな提携発表のポイントを「AIエージェント」「データ・マーケティング」「新技術を活用した新たな価値創出」の3点であると説明。

なお、MUFGはAI関連に関して、2025年11月にOpenAIとも戦略的提携を発表している。MUFGがグーグルとOpenAI、最先端のAI技術で競合する2社と同時に提携を結ぶ狙いは何か。会見の内容から解説する。

三菱UFJがOpenAIと仕掛ける「AI金融サービス」の全貌。エムットや新デジタルバンクでも協力 | Business Insider Japan

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YouTubeやFitbitを活用。金融を日常に溶かすグーグルとの提携に関する流れのスライドMUFGとグーグルとの連携は「第二章」に突入する。撮影:小林優多郎

まず、今回のグーグルとの提携によって、エムットを含むMUFGの個人事業の何が変わるのか。

最も分かりやすいのは、MUFGの連結子会社で家計簿サービスを展開するマネーツリー(Moneytree)と、グーグルのウェアラブル端末を使ったヘルスケアサービス・フィットビット(Fitbit)の連携だ。

マネーツリー内で、各種金融情報とフィットビット端末で取得した睡眠や運動量などの健康データが表示可能になる。さらに、それらの情報を掛け合わせて「活動時間が夜型の日は、外食やコンビニの支出が増える傾向にある」などの生活に関するアドバイスも行う。

Moneytree新サービスのイメージマネーツリー内で健康データを表示することが可能になり、状況に応じてインセンティブの付与も予定されている。撮影:小林優多郎金融と健康データの掛け合わせのイメージ新サービスでは、金融と健康データを掛け合わせて「気づき」を提供するという。撮影:小林優多郎

さらに、健康習慣を継続しているユーザーにリワードや特典(ポイント)を付与する仕組みも構築する。山本氏によると、将来的には「健康管理を継続している顧客に対し、住宅ローン等の金融商品で優遇する仕組みへの展開も視野に入れている」という。

サービス提供開始は2026年秋頃を予定しており、開始時には現時点では未発表のフィットビットの最新デバイスもなんらかの形でMUFGユーザーに提供する予定だ。

新規顧客獲得の面でもグーグルと協力する。2026年夏頃から開始予定のキャンペーンでは、エントリー後に三菱UFJ銀行の口座を開設すると、YouTube Premium(月額1280円)の3カ月無料特典を付与するとしている。

次世代会議システム導入で店舗相談を刷新Google Beamに関するスライドGoogle Beamが日本上陸した際には、MUFGが導入の検討を行うという。撮影:小林優多郎

店舗にもグーグルの最新技術を導入する。グーグルの次世代3Dビデオ会議システム「HP Dimension with Google Beam」を一部拠点に配置し、富裕層向けの資産運用相談など、拠点と専門家をつなぐ遠隔相談業務に活用していく。

Google Beam(グーグルビーム)は、2021年5月の開発者向けイベントで発表した「Project Starline」がベースになっている。複数のカメラと深度センサーで撮影した映像をAIがリアルタイムに3D化してコミュニケーションのできるビデオ会議システムだ。

山本氏はGoogle Beamの実力について「本当に人間みたい(に見える)」とし、Beamを設置する拠点を訪れた顧客が、専門家の金融サポートを円滑に受けられる未来に期待を寄せた。

ただ、その実現にはまだ時間を要するようだ。そもそもグーグル自体がGoogle Beamの日本展開をまだ発表していない。

また、Beamのハードウェア周りは2024年5月からHPが担当しているが、サイズにまだ懸念があるようだ。Project Starline発表時より機材構成がスリムになっているものの、MUFGとしては「まだ大きい」(山本氏)という。

Beam導入の予定について山本氏は「グーグルの日本展開のタイミングに合わせて導入を検討する」と述べるにとどめている。

山本氏はグーグルとの今回の提携強化の狙いについて「グーグルの色々なツールをうまく活用することで、金融を日常生活の中に溶け込ませたい」と説明。MUFGがグーグルのサービスや最新技術を幅広く取り入れていく方針を明らかにしている。

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