Murata Coworker の開発背景について、生成 AI CoE の小金井 雄貴 氏は次のように振り返ります。
「既存の生成 AI サービスをそのまま利用すると、ユーザー体験を向上させたり自社データでチューニングしたりすることが難しい場合があります。現場が本当に使えるプロダクトを作る、従業員の声を聞いて改善するフィードバックループを回すために内製開発を選びました」
開発でこだわった要素が UI / UX です。入出力のマルチモーダル対応、 RAG (Retrieval-Augmented Generation) や AI エージェントなどの機能拡充に加え、独自の UI / UX を実装するといった工夫をこらしています。これらと並んで重視したのが「セキュリティやガバナンスに対する配慮」でした。
「生成 AI を導入した当初は、ユーザーの多くが『この情報を入力していいのか』『この出力内容を利用しても大丈夫なのか』と悩むシーンが多発しました」と鈴木 氏は話します。
社内向けの利用ガイドラインの策定とともに、安心かつ安全な環境づくりに寄与したのが NVIDIA NeMo Guardrails です。複数の「ガードレール」機能――生成 AI アプリケーションに入力されたプロンプトに「個人情報」「暴力的な表現や差別的な内容」「生成 AI への攻撃や乗っ取りを企図した内容」などが含まれていたらブロックする Input rails 、生成 AI の出力に「一般的に有害な内容」が含まれていたらブロックする Output rails などを備えています。
「NVIDIA NeMo Guardrails を組み込んでガードレールを設ければ、「使い方が正しいかどうか」をシステム側が判断して適切な振る舞いをしてくれるため、ユーザーは「使うのが何となく怖い」という漠然とした不安を解消できます。小金井氏は「従業員に負担を掛けずに安全性や安心感を高められたことが大きな効果です」と評価します。