【生成AI事件簿】問われるのは最先端AIを誰が評価し、監督し、分配するか
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小林 啓倫
経営コンサルタント
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2026.5.1(金)
Mythosの脅威は本物か、それとも「恐怖を煽る商法」なのか?(筆者がChatGPTで生成)
2026年4月24日、東京・霞が関の金融庁会議室。緊急で招集されたのは、日本銀行の植田和男総裁、三菱UFJ・三井住友・みずほの3メガバンク幹部、そして日本取引所グループ(JPX)の山道裕己CEOという、日本の金融インフラの中枢を担う顔ぶれだった。議題はただひとつ、米Anthropic社の新型AIモデル「Claude Mythos Preview」が、日本の金融システムにもたらし得るサイバー脅威への対処であった。
片山さつき金融担当相は会議後、現状について「今そこにある危機」と踏み込んだ表現をした。冷戦時代の小説の題名から取られたこの表現を、現職大臣がそのまま用いるのは異例である。
ところがその3日前、米国の西海岸では正反対の声が上がっていた。OpenAIのサム・アルトマンCEOがポッドキャスト「Core Memory」で、Mythosをめぐる一連の騒動を「恐怖を煽るマーケティング(Fear-based marketing)」と一蹴したのである。「我々は爆弾を作った、あなたの頭上に落とす、爆弾シェルターを1億ドルで売る──。そう言っているようなものだ」。
片や国家的危機、片や宣伝戦略。いったいどちらがMythosを正確に捉えているのか。そして最先端AIモデルの「デュアルユース問題」、つまり科学技術や研究成果が、平和的な目的にも軍事・悪用にも転用可能であることから生じる安全保障上の問題を、いったいどう管理すべきなのだろうか。
Claude Mythos Previewについては、この連載でも何度か触れてきたが、ここで簡単に振り返っておこう。