Goldman Sachs、香港拠点でClaude利用停止 ChatGPTとGeminiは継続

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Goldman Sachsが、香港拠点の社員によるAnthropicのAIモデル「Claude」の利用を停止した。契約解釈と提供対象地域の整理を踏まえた措置とみられ、OpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Gemini」は引き続き利用できるという。

英フィンテックメディアのFinextraが29日(現地時間)に報じたところによると、香港のGoldman Sachs社員は数週間前まで社内AIプラットフォーム経由でClaudeを利用できたが、現在はアクセスできなくなっている。

今回の措置は香港勤務の社員に限って適用された。他の生成AIモデルは利用を継続しており、Claudeのみを個別に停止した形だ。

報道によれば、Goldman SachsはAnthropicと協議したうえで契約内容を厳格に解釈し、香港の社員はAnthropicの製品を利用すべきではないと判断したという。論点となったのは、香港を契約上の提供対象地域としてどう位置付けるかだった。

香港の社員は直前まで社内プラットフォームでClaudeを利用していたことから、同社がその後、契約の適用範囲を見直した可能性がある。

こうした動きは、AI技術を巡る米中摩擦が強まるタイミングと重なる。米政府は先週、中国企業がAI技術を不正に取得しているとの趣旨の警告を出していた。

そのため、米企業のAIモデルを香港のような地域でどう扱うかが、金融機関の内部統制やAIガバナンス上の論点として浮上している。

現在、米企業のAIモデルは中国本土では提供されていない。一方、香港では一部の米企業がサービスを提供してきたとされる。

このため、香港を独立した市場として扱うのか、それとも中国関連リスクを含む地域として運用するのかによって、企業ごとに判断が分かれる可能性がある。

Anthropicの公式案内も今回の措置を裏付ける材料となっている。AnthropicのWebサイトでは、香港はAPIと「Claude.ai」の提供対象地域に含まれていない。

Goldman Sachsはこうした条件を踏まえ、社内のアクセス権限を調整したとみられる。Claudeの利用を停止しつつ他モデルは維持した対応は、生成AIの導入自体を後退させるのではなく、ベンダーごとの契約条件や提供地域を精査したうえで利用可否を個別に判断していることを示している。

またAnthropicは最近、新モデル「MitOS」の安全性を巡る懸念の中心にもなっているとされる。同モデルは、人間より速くサイバーセキュリティ上の脆弱性を見つけ出せると伝えられている。

金融機関では、社内利用を認めるAIモデルを判断する際、地域ごとの利用可否に加え、セキュリティリスクや提供元の統制条件まで含めて検討する動きが強まっている。

今回の事例は、グローバル金融機関のAI活用が、単なる生産性向上ツールの導入段階を超え、契約、提供地域、地政学リスクを併せて見極める局面に入ったことを示している。香港のように中国本土とは制度上区別されつつも、対中リスク管理と接点を持つ地域では、利用を認めるモデルと停止対象の線引きが今後も運用上の重要な論点となりそうだ。