メタ、新型AI「ミューズスパーク」で反転攻勢 1350億ドルの巨額投資と開発体制の刷新で挑む覇権 視覚能力を武器に生活圏へ浸透 非公開化を選択し独自の収益モデル構築へ舵切り(1/3) | JBpress (ジェイビープレス)

視覚能力を武器に生活圏へ浸透 非公開化を選択し独自の収益モデル構築へ舵切り

小久保 重信

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2026.4.28(火)

カリフォルニア州メンロパーク市にあるメタ本社(3月26日撮影、写真:AP/アフロ)

 米メタが4月上旬、新型のAIモデル「Muse Spark(ミューズスパーク)」を公開してから、3週間近くが経過した。

 市場の熱狂が落ち着きを見せるなか、業界関係者の間では、このモデルが同社の命運を左右する転換点になるとの分析が強まっている。

 ミューズスパークは、メタが昨年設立した専門組織「Meta Superintelligence Labs (メタ・スーパーインテリジェンス・ラブズ、MSL)」が開発を主導した新シリーズ「Muse」の第1弾となるモデルだ。

 AI開発の遅れを指摘されてきた同社にとって、反転攻勢の成否を占う試金石となる。

巨額投資の「成果」実証へ一歩

 新モデルの登場は、この1年間に同社が断行してきた大規模な組織再編が実を結んだものといえる。

 メタは昨年6月、米スケールAIの創業者らを引き抜く「リバース・アクハイヤー(reverse acquihire=逆アクハイヤー)」に踏み切った。この際、同社は約143億ドル(約2兆3000億円)という巨額の出資を行った。

 当時、一部のトップ人材のみを巨額の報酬で引き抜くこの手法は、シリコンバレー特有のイノベーション文化を損なうとの批判も招いた。

 だが、専門組織であるMSLは、わずか9カ月でAI基盤を再構築した。

 開発段階で「アボカド」のコード名で呼ばれていた新モデルは、沈滞ムードを払拭し、開発スピードの回復を印象づけるものとなった(米CNBCの記事)。

 MSLを率いるアレクサンダー・ワン氏は、モデルの挙動に「粗削りな部分がある」ことを認めつつ、時間をかけて洗練させていく考えを示している。

 以前の主力モデル「Llama(ラマ)4」が性能不足と評されるなど、同社のAI開発は一時、停滞を余儀なくされていた。

 そうしたなか、ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は、自らトップ研究者の勧誘に直接関わるなど、開発体制の刷新に注力してきた。

 背景には、既存の技術スタックをゼロから作り直すという抜本的なアプローチがある。同社は、モデルの規模を段階的に拡大させる「科学的なスケーリング」を重視しており、次世代モデルの開発も並行して進める。