折りたたみスマートフォンで画面が倍になり、さらに三つ折りスマホで3倍になってきた今日この頃。やっぱり画面って大きいほうが、多いほうが正義なのでしょうか…?
米Gizmodoが14インチスクリーンを縦に2枚配置したノートPC、ASUS Zenbook Duoをレビューしました。2024年リリースのZenbook Duoからアップデートした2026年モデルです。
仕事柄、ノートPCはたくさんレビューしますが「…!」とびっくりすることは稀です。「僕に足りなかったもの・求めていたものはコレだった!」と気付かされることはもっともっと稀です。仕事で多くの端末をレビューしますが、その多くはワンパターンなものや従来機種の派生モデルで、予想の範囲内であったり、あるいは予想外ではあってもヘンテコすぎたり、価格が高すぎたりします。
なので、今回のレビューは珍しい回。つまり、Intel Core Ultra Series 3を搭載した新型ASUS Zenbook Duoにはいい意味でびっくりさせられたんです。
なにも犠牲にしない個性派端末
Image: Raymond Wong / Gizmodo US
当然、最初に触れるのは2つの画面。製品名に「Duo」とつくとおり、デュアルスクリーンの端末です。縦に並んだ14インチ画面が2枚、そしてこれを支えるキックスタンド。カフェでこれを使って仕事してたら、間違いなく目を惹くと思います。
ただ、外観・仕様が個性的なだけではありません。バッテリーもちよし、性能よし、さらに美しい画面が2つ。これ、1回使っちゃうと、かなり甘やかされそうでこわい。
2画面ノートPCを手がけるのは、今回が初めてではないASUS。今年のZenbook Duoは2026年モデルの2代目であり、初代は2024年に発売されています。また今年は同じASUSのゲーミングブランドであるROGでも、2画面ノート「ROG Zephyrus Duo」を発表しています。
2024年モデルから大きくかわったのは、2画面のそれぞれのベザルを大幅に縮小したこと。これによって、2画面だけど大きな1画面という使い方も可能になりました。下の画面に磁石で接続するキーボードは使いやすく、デスクの上でも、膝の上でも、足を組んでも悪くない。性能も素晴らしい。縦に2画面という大きな個性と引き換えに失うものがないんです。
今回のレビューはASUSからではなく、Intelからのリクエスト。これは、Intel側にPanther Lake、Intel Core Ultra Series 3チップをぜひ知ってほしいという狙いがあってのことです。今回のレビュー端末は、Panther Lake最高位チップのIntel Core Ultra X9 388Hに12Xe3 GPUを搭載。メモリは32GB、容量は1TB。AMDのStrix Point APUへのIntelの対抗策がこれです。
Intelの強みは、グラフィック性能もありつつ、バッテリーもちが良いおかげで軽量ラップトップに採用されること。ROGブランドではないものの、Zenbook Duoはゲームでもかなり使えます。
ちなみに、今回のレビュー端末、高グラフィク性能の12Xe3をオプションで選ぶと、2300ドル(約35万円)ほどになります。チップはCore Ultra 9 386H CPUで、GPUを強化しないとなると、2100ドル(約32万円)ほど。ASUSいわく、現時点ではまだ発売日は調整中とのことですが、まぁ、いつ発売してもお高い端末なのに間違いはありません。(メモリ不足の今年はどこのメーカーの端末も高くなりそうだし、安い端末なんてないのかも…)
思ったほどは分厚くない
Image: Raymond Wong / Gizmodo US
僕が普段使っているのはスリムなノート。スリムに慣れていると、分厚いノートにはどことなく時代錯誤な印象を持ってしまいます。
2画面のZenbook Duoはさぞや分厚かろうと思いきや、0.91インチ(約2.3センチ)ほど。分厚いけど思ってたほどではないですね。ただ、ASUSのノートの中では当然重くはあります。軽さだけは諦める必要あり。なにしろ画面が2枚なので。
2画面を折りたたんで閉じると少し隙間があり、ここに収まるのがキーボード。ただ開いただけでは分厚めなノートにしか見えませんが、キーボードを外すと2つめの画面が登場。
筐体には、ASUSが今年リリースするZenbookに共通で採用されている独自素材のセラルミナム(セラミック x アルミニウム)が使われています。さらっと軽い触り心地を背面やキーで感じることができます。が、これはタイピングではちょと慣れが必要。さらっとしていることで、人によってはタイピングが滑ると感じるかもしれません。
Image: Raymond Wong / Gizmodo US
キーボードは2画面の下のベゼルに磁石でくっつきます。下の画面のベゼルにしかくっつかないので注意。これ、かなり強い磁力で、強めにタイピングしても外れることなし(Zenbook Duoに限らず、ベゼルがメタルならどんなタブレットにもくっつきます)。
2画面>大画面
Image: Raymond Wong / Gizmodo US
ポータブル環境で設定できるマルチ画面の中では、間違いなく最高クラス。だって、しつこいけど14インチの有機ELが2枚ですからね。過去に外付けのポータブルモニターをあれこれ使ったことがありますが、ぶっちぎりでZenbook Duoがいいです。
画面を設置するには、開いて、背面にあるキックスタンドを出して、あとはWindows 11がマルチ画面を検出してうまいことやってくれます。縦配置のマルチ画面環境を使ったことがない人は、この快適さにはおどろくと思います。もうね、溺れるとまで言いたい。
Image: Raymond Wong / Gizmodo US
搭載されているポートは、HDMI、Thunderbolt 4 USB-Cが2つ、イヤホンジャック。キーボードにはさらに別のUSB-Cポートが1つあり、ここで充電が可能。最低ギリギリラインだと思います。正直、もっと欲しいといえば欲しい。
折りたたみの2画面を繋ぐヒンジはタフで、ASUS曰く4万回の開閉耐久があるとのこと。レビュー期間は2週間なので、4万回は絶対無理ですが、僕の雑な開閉に動じないヒンジのタフさは感じました。
ASUS Zenbook 17 FoldやLenovoのThinkPad X1 16 Foldでフレキシブル画面の折りたたみ端末は試しましたが、なんだかんだで曲がる大画面よりも、2枚ぶちこんだ方が早いし、シンプルだし、タフだよね?というのが結論な気がしますね。2つの画面を1枚大画面として見ることもできます。
たしかに画面の間にベゼルはありますが、薄くなったので気になるほどでもない。問題はOSで、Windows 11がデフォルトで画面サイズを調整しちゃうんですよね。で、自分好みにサイズ調整するのが面倒だという。
Image: Raymond Wong / Gizmodo US
ちなみに、画面を本みたいに持つこともできるんですが、正直なんか違和感あります。
なんとも言えない、コレじゃない感。そこそこ重いから腕も疲れるしな…。なんか違う。
画面反射ツラい
解像度は2画面ともに、3K(2880 x 1800)。リフレッシュレートは可変で、48Hzから最大144Hz。有機ELなので、画面の明るさはそこそこ。直射日光下だとキツい。また、画面がツヤ仕上げなので、反射がけっこうあります。快適に仕事をするには周辺環境が大事かも。
搭載スピーカーは、ツイーター2つとウーファー4つの計6つ。音量はかなり出ます。音もクリア。ただ、没入感と言われると、若干フラットかな。ヘッドホンやサウンドバーと比較するのは酷ですが、ノート搭載スピーカーとしては単体でも十分です。
Intel Core Ultra Series 3で魅せるパフォーマンス
Image: Raymond Wong / Gizmodo US
Panther Lakeシリーズのチップがリリースされたのは2025年10月。Lunar Lakeの効率性とバッテリーもち、Arrow Lakeの性能を約束したチップです。僕のテストでは、Intel Core Ultra X9 388Hは、Arrow Lakeのミッドレンジモデルの上をいくという印象。
Panther Lakeは思ってるよりずっといい、さらにGPU能力もいい。バッテリーを犠牲にしない安定したゲーミング性能、これです。
このレビュー前に、Lenovo ThinkPad P1 Gen 8を触る機会があったのですが、そちらの搭載チップはIntel Core Ultra 7 255H、Arrow Lakeのミッドレンジチップなので、今回はそこと比較しやすかったです。Core Ultra X9 388Hは、16コアのArrow Lakeの上を行きます。
Geekbench 6のベンチマークでは、ThinkPad P1 Gen 8のCore Ultra 7 255とシングルコアで比較してCore Ultra X9 388Hは300ポイントの上。マルチコアなら1000ポイント近い差がでました。
とはいえ、軽量ノートでPanther Lakeが最高かというとそれは甘い。Appleのベンチマークでは、10コアのM5チップ搭載の14インチMacBook Proは、シングルコアでPanther Lakeより1200ポイント上。ただし、マルチコアだとほぼ同等。Cinebench 2024のベンチマークだと、Core Ultra X9 388H CPUとAppleのM5チップはほぼ同等。
Blenderベンチマークだと、M5搭載MacBook Proより、Zenbook Duoの方がレンダリング時間が20秒も短い結果に。もちろん、ゲーミング端末に採用されるより高性能なIntel Core Ultra 200HXなどのチップとは比べられませんが、悪くない結果です。
ただ、Zenbook Duoを買う人はここまで細かいベンチマークの差なんて気にしなくていいかもしれません。結局、最大のメリットは2つの画面。頭に入れておくのは、2画面でも性能は犠牲にしていないという程度のメモでいいかも。
ゲーミング端末としても使える?
Image: Raymond Wong / Gizmodo US
Zenbook Duoの中にいるのは、Intelの最高位クラスのチップセット12 Xe3 GPUコアのArc B380。チップ1枚の中で、CPUとGPUの間でコミュニケーションが可能。これ、両者間で遅延を生むことなくGPUサイズを拡大できることを意味しています。
Intel Core UltraのGPUは、ちょい前世代のグラフィクカードと同等。僕が3DMarkのTime Spyでテストした結果では、2024年のASUS TUF Gaming A14搭載のNvidia GeForce RTX 4060より上。ただ、Intelの統合型GPUは、最近のRTX 5070などのGPUには及ばず。AMDのRyzen AI Maxにも及ばず。Zenbook Duoは、最大45W TDPなことも忘れずに。
ゲームとなるとフレームレートに触れねばなりません。高フレームレートを求める前に大事なのは、そもそもお目当てのゲームがこの端末で遊べるか?というお話。それでいうと、Zenbook Duoはめちゃがんばります。「サイバーパンク 2077」は、グラフィック設定HIGH・解像度1080pでフレームレート50fps。解像度をMAXの2880 x 1800まで上げると23fps。Intelのアップスケーリング技術XeSSを使えば45fps。いけますね。余裕でプレイできるレートです。Panther Lakeのレイトレをオンにすると、低グラフィック・30fps・アップスケーリングもあり、て感じですね。
Image: Raymond Wong / Gizmodo US
このレートは「黒神話:悟空」でもほぼ同じ。グラフィックHIGH・1200p・レイトレありで37fps。「Horizon Zero Dawn Remastered」なら、グラフィックHIGH・解像度最大・XeSSアップスケーリングなしで28fps。アップスケーリングを念頭に置けば、どれもほぼ問題なくプレイできます。「トータルウォー:メディーバル3」なら、グラフィックUltraで30fps。
昨今、アップスケーリング技術なしでAAAクラスのタイトルをプレイできるIntel・AMDチップ搭載の’軽量’ノートは難しい。それほど、アップスケーリング技術は今アツい分野です。
レンダリングフレームの間にAI生成のフレームを埋め込む、複数フレーム生成アップスケーリング技術。遅延やグラフィックに多少の歪みがでるというデメリットはあるものの、超高スペックマシンを使わずとも、高フレームレートが実現できるメリットが上回ると思います。Intelのアップスケーリング技術はXeSS、最新版はXeSS 3です。
AI生成フレームはフェイクフレームだと敬遠するゲーマーもいるので、アップスケールするかしないかはあなた次第。個人的には、使うことで50fps以上が出るなら使うのがいいかなという気がしています。
ゲーミングモニターならいざ知らず、Zenbook Duoの14インチ画面なら多少のグリッチには気づかないと思いますし。
バッリーもち
Image: Raymond Wong / Gizmodo US
1日使える!と言われても、それは使い方しだい、使う人しだいですからね。僕の場合、Gizmodoの編集画面と画像の編集ソフトがメイン。
しつこいけど、Zenbook Duoって画面が2枚あるんです。その分バッテリー喰いなんです。なのに、僕の使い方で7時間もちました。これ、バッテリーもちがいいと言っていいと思います。
総評
Image: Raymond Wong / Gizmodo US
スタイルよし、パワーよし、個性よし。当然、めちゃくちゃ値段も高い!
いつか、ゲーム性能も生産性もバッテリーもちも最高にいいモバイル端末ができたらいいのにと思います。現時点では、その理想の端末に1番近いのは間違いなくZenbook Duo。価格以外で、不満要素がないんですから。
いいところ:2画面は正義、2画面とも有機EL、キーボードよし、Panther Lakeの性能よし、ゲームもいける
残念なところ:泣くほど高い、そこそこ分厚い、ポートが最低限ギリギリしかない
