
写真は1月23日、日銀政策決定会合後、記者会見する植田和男総裁。REUTERS/Kim Kyung-Hoon
[東京 23日 ロイター] – 日銀の植田和男総裁は23日、金融政策決定会合後の会見で、次の利上げ判断に当たっては特定の事象に絞るのではなく、賃金や物価の上昇の持続性や上昇ペースについて「多様な指標から判断していく時期ではないか」と述べた。4月には企業の価格改定が多いが、その動向は追加利上げの「最も大事な材料ではなく、1つの材料」とするにとどめた。
総裁はまた、為替円安の物価への影響も引き続き注視する姿勢を示した。「企業の価格設定が積極化し、輸入価格への反応が大きくなっている可能性には注意したい」と述べ、基調物価に影響を与える可能性についても注意が必要だとした。「基調物価が2%に近づいている中、小さな動きにも注意を払わなければいけない」とも語った。
日銀は昨年12月、春闘の「初動のモメンタム」を重点的に確認した上で利上げに踏み切った。利上げ以降、企業の資金需要は緩やかな増加を続け、金融機関の貸し出しも引き続き積極的だと指摘。社債市場でも良好な発行環境が続いており、金融環境は緩和した状態が維持されていると語った。
生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)は、コメなど食料品価格の伸び率縮小や政府の物価高対策の影響で2月以降、前年比上昇率が2%を割り込むと市場ではみられている。植田総裁は、コアCPIとは対照的に「基調的インフレ率はゆっくりと上がり続けていく」とし、政策運営に当たっては基調的なインフレ率がより重要になると述べた。
<金利急騰、政府・日銀「それぞれの役割でしっかり対応」>
衆院選を前に与野党が消費減税を掲げる中、債券市場では金利が急騰した。植田総裁は、長期金利は「かなり速いスピードで上昇してきている」との認識を示し、例外的な状況では機動的なオペを実施することもあると語った。政府と緊密に連絡しつつ、それぞれの役割でしっかり対応していきたいと強調した。超長期債については「年度末要因で需給が不安定になっている点にも注意したい」と述べた。
植田総裁は、消費減税の影響は「見通しに織り込んでいない」と説明。物価への影響も「現時点ではっきり申し上げられるものではない」とした。政府が中長期的な財政健全化について、市場の信認を確保することは極めて重要だと改めて述べた。
<FRB議長支持の共同声明、米国の内政に関わる事項で「不参加が適当」>
米国のトランプ政権が刑事捜査の対象としたパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長を支持する各国中銀の共同声明への署名を見送ったことについて、中銀の独立性確保は物価安定実現のために重要なことだが、今回は米国の内政に関わる事項であり、声明に参加しないことが適当と判断したと説明した。
和田崇彦、杉山健太郎
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