日本競馬界の悲願が若武者によって達成された。11度目の挑戦でようやく掴んだ栄冠は偶然ではなく、日々、研鑽を続けてきたからこその必然だった。さあ、’25年スポーツ界で最も輝いた男の声を聞こう。(原題:[Number MVPインタビュー]坂井瑠星「楽観を排した負けないための思考」)

――ナンバーMVP賞受賞、おめでとうございます。競馬界では2005年武豊騎手以来、2人目の受賞です。

「ありがとうございます。ずっと憧れだった武豊さん以来ということが嬉しいですし、フォーエバーヤングが動物初の受賞ということも嬉しいです」

――動物初という肩書きに喜んでいましたね。

「フォーエバーヤングには『お前はすごいんだぞ。ここに名前を刻んだんだぞ』と伝えたいです(笑)」

――2025年の快挙を振り返りましょう。まずは2月のサウジカップ。獲得賞金世界歴代1位の香港馬ロマンチックウォリアーに一度はかわされながらも、ゴール直前で差し返すドラマティックな内容で世界最高賞金レースを勝ちました。

「考え得る一番いい形で、ロマンチックウォリアーを外から被せてレースができました。4コーナーで相手がいい勢いで来たので『やっぱり来たな』と思いましたけど、馬を信じていたので、負けると思った瞬間はありませんでした」

Kiichi MatsumotoKiichi Matsumoto

――秋にはアメリカのブリーダーズカップクラシックを制覇。ダート競馬の世界最高峰レースと言われる一戦で、日本調教馬も日本人騎手も勝つのは史上初でした。レース前から馬の状態が良かったとか。

「完璧でした。追い切りは矢作芳人調教師や厩舎スタッフと相談して、4コーナーから早めに追うことにしました。いつものレースぶりや前年のブリーダーズC3着の経験を踏まえて、3~4コーナーでの動きがポイントになると思い、それを少しでも補える調教を、ということです。事前に色々考えていても上手くいかないのが調教やレースですけど、思った通りの追い切りができて、『100点満点』とコメントしました。そんなことを言ったのはたぶん初めて。それくらい良かったですし、それまで感じていた馬体の左右差も少なくなっていましたね」

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