所得格差が過去最大に

2025年12月23日、厚生労働省は2023年に実施した「所得再分配調査」の結果を発表。これによると、所得格差の指数「ジニ係数」が微増し、統計を開始した1962年以来、最大の格差という結果になった。

ジニ係数とは、0〜1の値で示され、格差が大きくなるほど「1」に近づく。最新の調査結果では、税金や社会保険料を支払う前の所得にあたる「当初所得」で0.5855と、2020年の調査に比べ、0.0155ポイント増えていた。格差拡大の背景には高齢化があり、当初所得が低い世帯が増えていることもある。

この「当初所得」から税金や社会保険料を差し引き、さらに年金や医療などの社会保障給付を加えた「再分配所得」のジニ係数は、0.3825だった。これも前回に比べて0.012ポイント増えていた。

富の再分配は社会の公平性や安定性を保つ重要な政策だが、現役世代の負荷が増し続けることで、負の側面が現れてくる可能性も考えられるのではないだろうか。

キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。「税金や社会保険料の負担が増え、額面は変わらないのに、手取りの給料が減る人もいます。そのため、副業やアルバイトをする人もいるのですが、これが原因で心身の健康を損ねたり、ストレス発散などから浮気に発展することもあります」という。

山村さんは「困っている人を救える人になりたい」という気持ちが強い。学生時代は警察官を希望していたが、当時は身長制限があり、受験資格はなかった。一般企業に勤務するが、目の前の人を助けたいという思いは強く、探偵の修行に入る。探偵は調査に入る前に、依頼者が抱えている困難やその背景を詳しく聞く。山村さんは相談から調査後に至るまで、依頼人が安心して生活し、救われるようにサポートをしている。

これまで「探偵が見た家族の肖像」として山村さんが調査した家族のことをお伝えしてきたが、この連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにしていったのかも含め、さまざまな事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮しながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。

今回山村さんのところに相談に来たのは、40歳の会社員・美佐子さん(仮名)だ。「夫より年収が上がったら、距離を置かれ、浮気されているようです」と山村さんのところに相談してきたのだ。

無趣味同士での結婚

美佐子さんから「夫がまた外泊なんです。浮気ですよね」と電話が来たのは、深夜2時でした。都心からの終電が郊外を通過し、しばらく経ってからの時間帯は、悩んだ末に電話してくる人が多いです。

翌朝9時にカウンセリングルームに来た美佐子さんは、堅実かつ質素な雰囲気の女性でした。年季が入ったコートに白髪まじりの髪にノーメイク。眠れなかったのか、かなり憔悴しています。「午前休をとりました」と疲れた顔で言う美佐子さんに、夫婦について伺いました。

「夫とは27歳の時に友達の紹介で知り合いました。お互い無趣味であることで意気投合したんです。出会ったその日に、夫から“このまま結婚しませんか?”と言われたのです。生理的に嫌なタイプではないので、“いいですよ”と答えました」