農林中央金庫や三井物産などが間接的に出資する貿易金融会社カツミ・グローバルが、経営破綻した米自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループに対し、数千億円規模のエクスポージャーを抱えていることが判明した。

  テキサス州の裁判所で先週開かれた審問で、カツミの弁護士は、同社がファースト・ブランズに対し総額17億5000万ドル(約2700億円)のトレードファイナンスを提供していたと述べた。この発言内容は、10月1日の審問記録が8日遅くに裁判所へ提出されたことで明らかになった。

  カツミはJA三井リース(JAML)の完全子会社で、売掛債権を買い取り企業に資金を融通するファクタリング事業などを手掛ける。JAMLの決算報告書によると、同社には農林中金が43.42%、三井物が42.26%、三井住友銀行、三井住友信託銀行、三井住友海上火災保険などがそれぞれ1%強を出資している。

  弁護士のチャールズ・ケリー氏によると、カツミは数十万件に及ぶ買い取り債権に関して、買い手側の代表者を務めている。ファースト・ブランズが先月、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した時点で、カツミが保有する未回収債権は約21万件、その総額は17億5000万ドルに上ったという。

  JAMLは10日、現時点でカツミが保有する債権は14億3000万ドルだと発表した。この裏付けとなっているのはゼネラル・モーターズ(GM)やステランティス、アマゾン・ドット・コム、ウォルマートなどの企業による売掛金で、「このスキームは、ファースト・ブランズへのエクスポージャーを伴わない」と説明した。

  この債権でJAMLとその株主に損失が及ぶかどうかは定かではない。だが、外国債券で巨額の損失を被り、リスク管理の強化と評判の回復に努める農林中金にとって、取り組みに水を差される恐れがある。

  モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏は、カツミの日常業務や運営の責任はJAMLにあるが、株主である農林中金と三井物産には、株主として取締役を選任する義務があると指摘。

  「JAMLが損失を被れば、それは農中や三井物産の業績にも反映される。従って、健全なリスク管理を遂行できる経営陣を指名する取締役を選ぶ責任を有している」と、マクダッド氏は述べた。

  裁判資料によれば、ケリー氏は1日の審問でクリストファー・ロペス判事に対し、カツミのアドバイザーは「限られた情報で対応している」と述べた上で、同社はファースト・ブランズから買い取った債権を自社の取得資産と位置づけていると説明した。さらに、破産法第11章の手続きについて「迅速に進むことを望んでいる」との考えを示した。

  同社のウェブサイトによると、テキサス州を拠点とするカツミの主な事業は資産担保融資やトレードファイナンス。

  農林中金と三井物産の代表者は、状況の注視を続け、適切に対応していくと述べた。農中はまたJAMLについて、重要なグループ会社だとの認識も示した。

  ファースト・ブランズは9月28日に連邦破産法11条の適用を申請した。裁判所の文書に記載された同社の負債額は推定100億-500億ドル。これまでに開示された債権の中では、カツミ・グローバルの額が最大となっている。これに次ぐのは、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループ傘下の資産運用会社で、ファースト・ブランズの顧客企業によって支払われるべき売掛債権に約7億1500万ドルを投資していた。

原題:First Brands Collapse Drags Nochu Into Another Debt Mess (1)(抜粋)

— 取材協力 Laura Benitez and Dan Wilchins

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