3カ月前、クラスターが発生したクルーズ船から、新型コロナウイルス患者100人を受け入れた『自衛隊中央病院』が報道陣に公開されました。自衛隊中央病院は、有事の際に負傷者を収容するために作られ、診療にあたる医師や看護師たちは全員自衛官です。第一種感染症指定医療機関でもある自衛隊中央病院には、現在も新型コロナウイルスの感染者が入院しています。
対策チームのリーダとして向き合ってきた田村格一等海佐は、当時の印象について「軽い症状の人で普段なら一般の病院やクリニックにすら行かないだろうと思われる人が多かった」と振り返ります。無症状でもいきなり豹変するのが特徴だとわかったのは後の話で、当時、病院内では“サイレント肺炎”と呼んでいたそうです。役に立ったのはCT検査や血中の酸素を計ることだったといいます。田村格一等海佐は、ジャーナリスト・石高健次氏の取材に「無症状・軽症の感染者も、単純なレントゲン検査では指摘されないようなケースが多かった。高齢者は血中酸素飽和濃度の低下、若年層で頻呼吸、すなわち呼吸数が増えることで気が付きました」と話しています。市中感染が広がった今は、PCR検査と他をうまく組み合わせるのが有効だといいます。
田村格一等海佐:「船の中ですでにPCR検査をやられて、コロナウイルスを持っているという前提でやったCT検査なんです。必ずしもコロナウイルスかどうかを見抜くのに、CT検査が特に強く有用というわけでもなく、一つの参考になる検査・所見という位置付け。CT検査そのものにも、例えば検査室の中に感染拡大の恐れや注意点がある。ケース・バイ・ケースで必要な検査を検討するべきだと思っている」
感染症対策の専門家である順天堂大学大学院・堀賢教授の解説です。
「感染症対策の成否は、感染症を的確に素早く診断することと、いつ感染症が侵入してきてもいいように、基本的な感染症防止策を普段から十分に職員を鍛えているという体制を作ることにかかってきます。自衛隊中央病院は、国内のバイオテロなどの時は、最後のとりでとして機能することになっています。民間病院とは違った高い緊張感のなかで、職員の感染防止策の教育を普段から徹底しているため、非常に熟練度が高いのだろうと考えられます。診療に関しては、胸部CT写真をすべての人に撮影をしても、例えば肺炎のない患者を見逃す可能性もある。そのことを踏まえて、CTに全部頼ってしまうのではなく、よくよく患者さんを診ることで、総合的に判断していくというコメントにつながっていると思います。これは凄味のあるコメントで、特別なことをやっているというわけではなく、本当に必要な基本的なことを徹底的に突き詰めてやったということで、感染症の見逃しや対策の漏れがなくなったということです。
[テレ朝news]