今回の動画では、新型コロナウイルスに対する効果が期待されているアカラブルチニブ(Calquence)について解説します。

①Covid-19にむけてアカラブルチニブの臨床試験開始
・イギリスの製薬会社アストラゼネカ社は、新しい抗がん剤の1つアカラブルチニブ(Calquence)が新型コロナウイルス感染症(COVID19)の一部患者に見られる過剰な免疫反応を鎮める効果があるか検証するため臨床試験を開始すると発表した。
・一部のCOVID19患者で新型コロナウイルスが「サイトカインストーム」と呼ばれる過剰な免疫反応を引き起こすと考えられている。アストラゼネカのブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤アカラブルチニブ(商品名「Calquence」)は新型コロナウイルスで生じる炎症を抑え呼吸困難の程度を緩和する可能性がある。
・大規模な無作為化試験でアカラブルチニブは集中治療を受けている患者を含むCOVID19の入院患者に投与される。数日中にアメリカと一部のヨーロッパ諸国で最初の参加者を募集する。アカラブルチニブを最善の対症療法と併用することで、アストラゼネカ社は人工呼吸器が必要な患者が減ると期待している。

②COVID-19による重症化(呼吸困難)はサイトカインストームが関与
・インフルエンザやコロナウイルスなどの感染症では、ウイルスを排除するために分泌されたサイトカインが、サイトカインストームと呼ばれる過剰な免疫反応を起こし、重篤な呼吸障害を引き起こす場合がある。
・IL-2、IL-7、顆粒球コロニー刺激因子、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10、ケモカインリガンド2、マクロファージ炎症性タンパク質、TNF-αの増加の特徴を示すsHLH(血球貪食症候群)に類似したサイトカインプロファイルがCOVID-19の重篤な症状に関与している

③ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤アカラブルチニブ
・アカラブルチニブは、アメリカおよびオーストラリアにおいて再発又は難治性慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)の成人患者の治療薬として、カナダにおいてはCLLの治療薬として承認されています。また、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジル、カタール、アラブ首長国連邦、メキシコ、アルゼンチン、シンガポール、チリ、インドにおいて、アカラブルチニブは前治療歴のある成人マントル細胞リンパ腫(MCL)患者さんの治療薬として承認されている。
・アカラブルチニブはブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対する次世代の選択的阻害剤であり、BTKに共有結合することでその阻害作用を発揮します。BTKシグナルはB細胞の増殖、輸送、走化、および接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすことが知られています

●Dr.Tomo
大学院で博士課程(Ph.D)を取得後、1年間博士研究員として勤務。その後、外資系製薬企業で世界中の医薬品のマーケティング部門に所属(現職)。研究員時代は脂質代謝酵素とミトコンドリア、小胞体、オートファジーなどの関係を研究していた(基礎研究出身)。Youtubeでは高校生に向けた勉強法や研究・製薬に関する情報を配信している。