昨年3着のミドルアースは同レース連覇経験を持つM.ザーラ騎手が騎乗。(Photo by Getty Images)
C.マー調教師が7頭出しの大攻勢、長距離戦で名手の騎乗馬にも注目
フルゲート24頭にハンデも加わるメルボルンCは、勝負の行方を見通すのが極めて困難。そうした条件下で今年はC.マー調教師が驚異の7頭出しを実現した一方、アイルランドのJ.オブライエン調教師も5頭を送り込み、両陣営で出走枠の半分を占めている。それが勝機拡大に寄与するのか、関係性を量る上で興味深いレースになりそうだ。
マー厩舎の優位性は頭数の多さだけでなく、そのうち4頭が指定レースを勝って優先出走権を手にしたことにも表れている。ジュジャキボ、ポイントオブロー、ミスターモナコは10月、残りのショックレッツも9月と直近の勝利による権利獲得で好調と判断でき、優先権があれば腰を据えて本番へ調整できる利点も見逃せない。
残りはミドルアース、ロイヤルスプレマシー、ザーランの3頭。ミドルアースは9月19日のアンダーウッドSからG1を4連戦と使い詰めで、最高でも7着と冴えないが、昨年も似たような臨戦からメルボルンCで3着に食い込んだ。ロイヤルスプレマシーには昨年10月に2400mのG1ザメトロポリタン勝ち、ザーランも移籍前の欧州での重賞勝ちや、9月にG3勝ちの実績がある。
これらに序列をつけるなら、枠順と騎手が一つの目安になるかもしれない。24頭立てとなると外枠の不利が明白で、長距離戦は騎手の腕が問われるのも世界の常識。ハンデは実力の均衡を期して設定されるものの、枠順次第で前提が崩れるのも常だからだ。マー厩舎の7頭で枠順1桁台は1番のミドルアースと9番のポイントオブローだけ。ミドルアースのM.ザーラ騎手は2022年と2023年に異なる馬で連覇し、2022年は13番枠、2023年は16番枠からだった。また、ポイントオブローのE.ブラウン騎手も昨年はミドルアースに騎乗して3着。こちらも13番枠から結果を出している。
一方、オブライエン師の5頭のうちサンズアンドラバーズ、トラストユアインスティンクト、グッディートゥーシューズが出走順6位から8位、ジェームズジェイブラドックも10位と、比較的早い段階で枠入り安全圏を確保しての遠征。それぞれ1年以内に重賞勝ち実績があるほか、グッディートゥーシューズは昨年のメルボルンCで2着、ジェームズジェイブラドックも今年の英ダービーで3着と、ハイクラスの戦歴がものを言った。
ただし、出走順24位で滑り込んだキズリャルを含め、4頭が大外を含む18番より外と枠順に泣かされた。トラストユアインスティンクトにJ.マクドナルド騎手、ジェームズジェイブラドックにC.ウィリアムズ騎手と、日本でもおなじみの名手を確保していたものの、戦い方が難しい。ただ、グッディートゥーシューズは19番枠も、昨年の20番枠と大差ない。ハンデは前年比で3.5kg増えたものの、鞍上も引き続きW.ローダン騎手が務める。
オブライエン厩舎では唯一、サンズアンドラバーズだけが3番枠に恵まれた。こちらはサウジのレッドシーターフハンデキャップ、フランスのモーリスドニュイユ賞でG2勝ちに導いた新鋭、D.マクモナグル騎手が手綱を取る。
R.キング騎手とのコンビで臨む4連勝中のソーユーアー。(Photo by Getty Images)
日本と縁のある名手ではR.キング騎手に初制覇の好機がめぐってきたか。コンビを組むソーユーアーは今季からB.ベイカー厩舎に移籍し、9月5日の2戦目から前走まで重賞3勝を含む4連勝と絶好調。10月28日のG3ベンディゴCからほぼ連闘の形にはなるものの、ハンデ(54kg)も枠順(7番)も有利なのは間違いない。
JRAの騎手試験(一次)に合格して日本移籍を視野に入れるD.レーン騎手は、前々走で英国のG3ジェフリーフリアSを勝ったワインダークシーに騎乗。当時はレッドシーターフHで2着のテーブルトーク、豪州にも遠征してG1戦線の常連だったドバイオナーを相手に逃げ切りの快勝だったが、今回は大外に近い23番枠になってしまった。
この他に1桁枠番では、2年前に日本のワープスピードを抑えて優勝のナイツチョイスが2番枠。当時は5番枠から栄光をつかんでおり、R.ドーラン騎手とのコンビも変わっていない。昨年は感染症の影響などで1年近い休養を余儀なくされ、連覇を断念して白星からも遠ざかっているが、前々走のG2ハーバートパワーSでは小差の3着と復調の兆しを見せている。ちなみに2年前はハンデ51.5kg、単勝91倍での優勝だった。
豪チャンピオントレーナーのC.ウォーラー調教師は、2頭出しのソウルオブスペインが5番枠、アステリックスは6番枠と絶好の並び。ソウルオブスペインの重賞勝ちは1年余り前にロイヤルスプレマシーを抑えたG3が1つあるだけだが、次戦のザメトロポリタン、今年4月のシドニーCと長距離系G1での2着が2回ある。また、アステリックスは明け8歳ながら、この1年で重賞とリステッドを各2勝と衰えを見せていない。なお、補欠1番手と2番手もウォーラー師の管理馬で、最終的に4頭出しとなる可能性を残している。
英国から遠征のエンフジャールは前走のコーフィールドCで3着。前々走のG3グロリアスS勝ちで2着に退けたオポチュニティが次走のイボアハンディキャップで3着、同じく3着のアルアージーもG2ドーヴィル大賞勝ちと、コーフィールドCでの好走にも納得のレベルが裏づけられている。8番枠でハンデ56kgならチャンスが十分にありそうだ。
(渡部浩明)